研究課題
基盤研究(C)
本研究では、調査票により得られる食事摂取量に伴う測定誤差に対する統計学的手法の提案することを目的としている。初年度(平成24年度)は、まず、妥当性研究データの解析において、「真の食事摂取量」の分布により頑健なセミパラメトリックな分布を仮定した新しい測定誤差モデルを用いることを提案する(以下、提案法)。次に、「真の食事摂取量」の分布に正規分布を仮定している先行研究の方法と提案法をシミュレーション研究により比較し,提案法が他の方法に比べて測定誤差の推定バイアスが小さくなることを示すことを計画した.シミュレーションにより、提案法がバイアスの観点から有用であることが示された.この結果について、2012年度統計連合大会により口頭発表を行った.また、栄養疫学研究に統計解析に参加し(Epidemiology, 2013)、提案法の実データへの応用の準備をすすめた.
2: おおむね順調に進展している
初年度(平成24年度)の目的は、提案する重み付き推定の方法の理論検討、提案する手法のプログラム作成(研究を遂行する上での工夫点)、シミュレーション研究による性能評価であった。ここまでは達成したものの、妥当性研究のデザインが仮定しているもの以外も多くあるために、多様な妥当性研究デザインに適用できるようにより汎用性の高い手法を作成する必要が生じた。そのため、妥当性研究デザインの文献レビューを行うことを追加し、当初の予定の変更が生じた。この状況を踏まえ、「おおむね順調に進展している」とした。
当初の平成25年度の予定は、提案した方法を妥当性研究データに応用し、FFQによる食事摂取量の測定誤差バイアスを推定する。先行研究では、同じデータに対して相関係数により評価を行った結果が提示されており、今回得られた結果と先行研究による結果が乖離していないかの確認を行うこと。次に、提案する手法のプログラム作成、実際のデータにおける解析であった。更に、昨年度生じた課題である、妥当性研究のデザインのレビューを終える予定である。
平成25年度の目標は、提案方法のシミュレーション結果の論文化、レビューの論文化、実データへの応用結果の成果発表である。その工程に合わせ、下記使用計画をたてた。物品:文献レビュー用にPCを購入(15万)、その他必要な物品(10万)旅費:国際生物統計学会での発表(30万)、国内学会発表2回(10万)、栄養疫学者との打ち合わせ5回(15万)その他:英文校正3回(20万)
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Epidemiology
巻: 24 ページ: 204-211
10.1097