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2012 年度 実施状況報告書

動的に活動する大脳皮質神経回路におけるnNOS細胞の機能

研究課題

研究課題/領域番号 24500457
研究種目

基盤研究(C)

研究機関名古屋大学

研究代表者

遠藤 利朗  名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (30353436)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードnNOS / 大脳皮質
研究概要

ここまでの研究では、大脳皮質の神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)を発現している細胞にたいするP物質(Substance P, SP)の作用を詳しく調べた。SPはnNOS細胞のSP受容体(NK1受容体)を活性化し、Gタンパク質に依存した信号伝達経路を介して非選択的陽イオン電流を誘発し脱分極させることが分かっていたが、その細胞内信号伝達経路について薬理学的に検討した。通常NK1受容体はGqと共益しているとされている。そこでGqによって活性化されるホスファチジルイノシトール特異的ホスフォリパーゼCの阻害薬U73122の効果を調べたが、予想に反してSPによって誘発される電流は抑制されなかった。そこで、考えられる様々な細胞内信号伝達経路について阻害剤の効果を調べ、ホスファチジルコリン特異的ホスフォリパーゼC(PC-PLC)の阻害薬D609によって電流が抑制されることを見いだした。一方、SPによってnNOS細胞内カルシウム濃度が上昇することが分かっていたが、その機序を検討した。カルシウム濃度の上昇は、細胞内カルシウム貯蔵器官を枯渇させる、またはカルシウム放出を阻害しても抑制されなかったが、細胞外液中のカルシウムを除去すると抑制された。以上をまとめると、SPによってnNOS細胞のNK1受容体が活性化されるとGタンパク質およびPC-PLCに依存した信号伝達経路を介して非選択的陽イオンチャネルが活性化され、そのチャネルを介してカルシウムが細胞内に流入し細胞内カルシウム濃度が上昇すると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までの達成度
研究計画の第一段階でnNOS細胞の性質を詳しく調べる予定であった。大脳皮質のnNOS細胞はNK1受容体に対する抗体によって特異的に強く染色される。このことから、nNOS細胞の機能がNK1受容体とその内因性リガンドであるSPによって特異的に制御される可能性が考えられる。そこでSPによる機能制御はnNOS細胞の特に重要な性質と考え、SPのnNOS細胞に対する作用機序を調べた。そして実績の概要に記したように、今年度の研究でそれを詳しく明らかにすることが出来た。これにより、研究の第一段階について相当程度は達成できたと考える。よって「おおむね順調に進展している」と評価する。

今後の研究の推進方策

基本的に当初の計画に沿って研究を推進する予定である。具体的には、まずnNOS細胞が一酸化窒素(NO)を放出する機構を調べる。放出されたNOを検出するためにはNO感受性の蛍光色素を用いることを考えている。また平行して、徐波睡眠様神経活動を急性スライス標本において誘発し、神経回路が動的に活動している時のnNOS細胞の活動状態を解析する。

次年度の研究費の使用計画

今年度は収支状況報告書に記載のとおり支出し、今年度の研究目標をおおむね達成できたため、若干額を次年度に繰り越すことにした。これと次年度の請求額と合わせて主に設備備品費として使用する予定である。具体的には、防振台が必要であるので、これを購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Substance P produces cation channel-mediated depolarization in the nNOS-positive GABAergic neurons in the mouse visual cortex2012

    • 著者名/発表者名
      遠藤 利朗、柳川右千夫、小松由紀夫
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      20120918-20120918

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公開日: 2014-07-24  

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