研究課題
今年度の研究の目的は、慢性ストレス負荷によるドーパミン神経変性への影響を調べることであった。又同時に、それに伴うミクログリア活性化も検討した。成熟ラットを用いて、一日8時間の拘束ストレスを週5日、負荷した。それを2週間から16週間まで行い、中脳でのカテコラミン神経変性を免疫組織化学、In Situ Hybridization法、ウェスタンブロッティング法を用いて、カテコラミン合成酵素であるチロシン・ハイドロキシラーゼ(TH)陽性細胞をターゲットに定量した。その結果、拘束ストレス負荷によって、2週間以降に黒質、青斑核でのドーパミン・ノルアドレナリン神経の変性が起こっていた。また、ミクログリアは急性期には強い活性化を示したものの、慢性期には弱い活性化を示していた。更に、ペルオキシナイトライトによる酸化ストレスの指標としてニトロタイロシン(NT)を用いて、酸化ストレス・レベルを測定した。その結果、黒質、青斑核においてミクログリア由来にNT活性が上昇していた。これらの結果より、慢性ストレスによって、脳内のカテコラミン神経変性が生じる事、そして、その変性にはミクログリア由来の酸化ストレスが重要な役割を果たしている事が明らかになった。
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Ann Clin Transl Neurol
巻: 1 ページ: 479-489