研究課題/領域番号 |
24500593
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩永 竜一郎 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40305389)
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研究分担者 |
仙石 泰仁 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10248669)
伊藤 祐子 首都大学東京, 健康福祉学部, 准教授 (60289973)
加藤 寿宏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80214386)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リハビリテーション |
研究概要 |
本研究の目的は、学校で教師が使うことができる感覚運動質問紙を作成することである。平成24年度は、研究代表者が先行研究や海外で使用されているSensory Profile School Companion (Dunn, 2006)や Sensory Processing Measure (Kuhaneck et al., 2009)などを参考にして学校で教師が使用できる感覚運動質問紙の試案(学校版感覚・運動質問紙試案)を作成した。次に作成した検査の項目の有用性、内容の妥当性について、小学校の教師20名、感覚統合学会の認定セラピストの資格を有する作業療法士10名に諮った。そして、そこで得られた意見を元に学校版感覚運動質問紙試案の項目や質問内容に修正を加えた。次に小学校の通常学級の担任教師40名に学校版感覚運動質問紙試案に回答してもらった。その結果、7歳から12歳の児童341名のデータが得られた。その結果、運動面の質問に対する回答は年齢ごとにスコアが異なることが分かり、年齢毎の標準値が必要であることがわかった。感覚面に関してはスコアの年齢による違いはなく全年齢同一の基準で良いことがわかった。また、発達障害児データにつていも収集し、学校版感覚運動質問紙試案の有用性についても検証した。その結果、発達障害児のスコアは一般児童の平均値、標準偏差の範囲から逸脱しているものが多かった。これらの結果について論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画は次の2点であった。 ・学校で教師が使用できる感覚運動質問紙の試案(学校版感覚運動質問紙試案)を作成する。 ・研究責任者及び研究分担者が関わりのある一部の地域で試行的に学校版感覚運動質問紙試案のデータを収集し、その結果を元に検討を重ね有用性を高める。 これら2点については概ね、計画通り実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、作成した学校版感覚・運動質問紙試案の全国での標準データを収集し、その信頼性、妥当性について検証する。そして、因子分析を行い、この質問紙に見られる一般児の因子についても検証する。 研究対象は全国の小学校の通常学級の教師300名とする。教師が評価する生徒は、調査研究に同意が得られた通常学級に在籍する一般児童1000名とする。基準関連妥当性の検証のために上記対象児童の中の100名の児童の保護者も対象とする。 調査方法:全国各地域の学校の校長、担任教師に電話及び郵送で研究協力依頼を行う(岩永:九州、加藤:近畿、伊藤:関東、仙石:北海道)。調査対象となる児童の担任に学校版感覚運動質問紙試案を郵送し、それに回答後返送してもらう。一部の教師には再テスト信頼性の分析のために1ヶ月後再度同じ子ども(50名の児童)について質問紙に回答してもらう。また評価者間信頼性の分析のために同じ学校に勤務する教師2名が1名の児童について別々に質問紙に回答してもらう(50組)。基準関連妥当性の検証においては、保護者が回答する感覚反応質問紙である日本版感覚インベントリー(JSI-R)や日本版Sensory Profile(現在我々が再標準化中)を用いる。調査対象児童の保護者にJSI-Rと日本版Sensory Profileへの回答を依頼し、同意が得られた保護者の中から100名に回答してもらう。 分析方法:収集したデータの年齢群間差、性差について検証する。また、テスト再テスト信頼性、評価者間信頼性の検証を行う。また、学校版感覚・運動質問紙のデータと保護者がチェックしたJSI-Rや日本版Sensory Profileのデータの相関を分析し、基準関連妥当性を検証する。更に、内容的妥当性、構成概念妥当性についても検証する。更に因子分析を行い、学校版感覚・運動質問紙における一般児の因子を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査地域の共同研究者との連絡調整のために旅費として支出する。国内学会発表のため旅費を支出する。調査協力者への謝金を支出する。統計解析ソフトを購入する。
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