言語聴覚士が実施する構音障害のリハビリテーションの分野においては、いまだ臨床家の経験則に基づくところが多い。構音活動における疲労の要素は明らかにはなっていない。そこで構音障害における疲労の様相をその回復過程を明らかにすることを目的に本研究を計画した。健常成人と構音障害のある患者を対象に疲労課題とその回復過程をVOT、舌圧、発話明瞭度、患者の主観的評価を横断的および縦断的に測定した。構音障害のある患者では、どの患者も健常成人と比べてどの項目も有意に低く、また、疲労課題を実施後、ベースライン期に戻る時間が有意に長かった。これらの結果は構音訓練プロトコルを作成する資料になると考えた。
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