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2013 年度 実施状況報告書

介護従事者のヒューマンファクター解明による安全な食事介助技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24500647
研究機関神戸常盤大学短期大学部

研究代表者

中道 敦子  神戸常盤大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20567341)

研究分担者 松山 美和  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30253462)
石井 まこと  大分大学, 経済学部, 教授 (60280666)
千綿 かおる  九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60442191)
星野 由美  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60457314)
キーワード食行動 / 食事介助技術 / 看護師 / 介護職
研究概要

前年度実施した介護施設職員への調査に引き続き、食事介助を業として行う兵庫県内の総合病院に勤務する看護師を対象に食行動の質問紙調査を実施した。2つの病院の看護師550名に留め置き法にて調査を行い460名より回答を得た(回収率83.6%)。そのうち記入内容を満たす341を分析の対象とした。データの素集計結果は、平均年齢34.5±9.2、経験年数11.5±8.9、BMI21.2±3.3であった。
今回の調査により、徳島県で実施した介護福祉施設職員455名、歯科関係者、49名を合わせると分析対象総データ数は845名となった。種々のカテゴリ間の関係では、年齢と職種・就業場所・経験年数・BMIの間に正の相関(r=.203,.431,.704,222)があった。就業場所と経験年数・BMIの間にも弱い正の相関(r=.216,.222)があった。P<.01
今回使用した質問票は研究代表者らが肥満症患者の行動変容を目的に作成されたものを健康な歯学部学生のデータから因子分析し作成した短縮版であった。この短縮版では食行動の傾向を「食認知」「食生活」「摂食行動」と3の領域に分類して把握できる。今回の質問票の回答をこの3つの領域で検討したところ、食生活で年齢、職種、就業場所、経験で負の相関(-.449,-.153,-.273,-.288)があった。P<.01。摂食行動はBMIと正の相関があった。食生活の領域の質問内容は不規則な食生活た欠食に関するものである。特に経験年数が上がるほど不規則な食生活が定着してくる可能性があった。食行動と食事介助技術の関係については、食事介助者自身の習慣的な行動の形成過程についても含めてさらに分析する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の報告内容をもとに述べる
1.2012年に日本咀嚼学会で発表した、特別養護老人ホームの職員56名の食品を用いた調査で、食事介助自身の一口量と食べる早さが食事介助を行う際の食べさせる一口分の量や口に運ぶペースに相関していた事は、日常の習慣化した食行動が解除行動に影響するというエビデンスとなった。このことは、食事介助業務に従事している本研究の調査対象者に、食行動の質問票について関心を持たせる効果があった。
2.今回使用した質問票は肥満患者用の行動変容を目的に作成されているため、食事介助者の食行動の傾向を把握すると同時に、質問項目の内容そのものが自身の行動の振り返りとなり行動変容をつながる可能性をもち、実施時の調査依頼時の説明で反響があった。本研究の分析対象845名のデータをもとに質問票の妥当性・整合性を確認する事ができたので今後の汎用性が高まった。
3.日常の食行動を科学的に分析する目的で実施した食品実食による嚥下直前の食塊物性の測定結果を分析したが、食行動質問票と関連する結果が得られなかった。このことについて、食塊物性は口腔の咀嚼機能の影響が大きく質問票から把握できる情報との関連を見出すには、まず相互の関連因子を検討する必要があった。今後は本研究期間に限らず、今回の調査をパイロットとし、対象者の条件を年齢や口腔機能の状態から吟味した上で実施する機会を得たい。
4.最終年度は看護や介護領域に向けて研究データの解析および発信を行う事でおおむね研究の成果を達成すると考える。

今後の研究の推進方策

1.食行動に関するこれまでの研究を総括し、一口量と咀嚼回数、食事介助技術への影響、食事の認識・食生活・摂食行動のカテゴリーから分析した食行動の傾向を、職種・就業場所・年齢・経験年数などから多角的な分析を行う。また、職場内での教育研修の程度や個別の認識など安全に対する現状分析を行い関連分野に発信するとともに学術誌に成果を報告する予定である。
2.徳島大学歯学部口腔保健学科、神戸常磐大学口腔保健学科、九州歯科大学歯学部口腔保健学科の研究分担者と協議し、本研究をもとにした歯科衛生士教育内容の向上について一定の見解を得たい。

次年度の研究費の使用計画

25年度は病院・施設への質問紙調査の実施が主な活動であった。研究代表自身で配布・回収を行い、収集データの整理・入力を実施し、最少の人件費で作業補助を依頼した。そのため、予定していた人件費より少なかった。現在これまでの全てのデータの分析作業が進捗中であるが、資料数が多いため整理などの補助のために人件費が引き続き必要である事も勘案した。
25年度は、学会で本研究結果を発信する機会を得ず勤務地を中心に活動したが、26年の最終年度に本結果の情報を発信するにあたり、関連する学会を看護・介護分野に広げる事を検討しているため、打ち合わせや学会参加の旅費の増加を見込んだ。また、学術雑誌への投稿にあたり印刷や英文校正、場合によっては専門的な統計解析にかかる費用を勘案した。
26年度は最終年度のため、学会発表の旅費と論文の諸費用である投稿料や印刷費、翻訳などにかかる経費を主体に考えている。 いっぽう引き続いて、資料整理や分析作業の補助にあたる人件費を要する。 統計ソフトなどの物品費については上記の2点を優先して購入を計画する。

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公開日: 2015-05-28  

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