2つの課題を同時に実行する能力がいつごろできるのかについては、認知発達を理解する上で興味深いトピックである。本研究では、複合課題を用いて幼時期のどの段階で2つのことを同時に実行する能力が形成されていくのかについて明らかにすることを目的とした。被験者は4歳から6歳の子ども(322名)と成人(19歳47名)を対象にワーキングメモリーを評価する単課題と2つの単課題を合わせた複合課題を実施し、正答率および反応時間を評価した。その結果、単課題は5歳で成人と同様なレベルに達する一方で、複合課題の遂行は、4歳では困難であるものの、6歳前半で可能となり、6歳後半には成人の能力に近づくことが明らかになった。
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