研究課題/領域番号 |
24500760
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研究機関 | 日本女子体育大学 |
研究代表者 |
湯田 淳 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (80415835)
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キーワード | スピードスケート / 3次元動作分析 / 発育発達 / 滑走技術 / 体力 |
研究概要 |
本研究の目的は,発育発達期における男女スピードスケート選手のストレート滑走動作を3次元動作分析法によってキネマティクス的に分析し,陸上でのスピードスケート模倣動作で測定された下肢パワー発揮能力の発達の様相と関連づけて検討することによって,発育発達の観点からスピードスケートにおける滑走動作の技術的特徴を横断的に明らかにすることであった. この目的を達成するため,平成24年度では,小学校から社会人までの男女スピードスケート選手を対象として,スピードスケート滑走動作の計測およびスピードスケート模倣動作での下肢パワー発揮能力の測定を行った.前者では,国内競技会でのレース滑走および実験的滑走におけるストレート滑走動作を3台のハイスピードカメラを用いて撮影し,パンニングDLT法によって3次元座標を得るための映像データを収集した.また,後者では,リンクサイドに設置した可搬型フォースプレートを使用し,片脚および両脚でのスケートジャンプ(最大努力での1回の上方への跳躍)における地面反力を計測した.いずれも160名を超える被験者のデータが収集され,平成25年度では,これらの大量のデータを整理し,年代別の滑走技術(3次元画像解析)と専門的体力(下肢のパワー発揮能力)との関係を検討するためのデータ分析作業を進めた. スピードスケート選手における氷上滑走動作や体力的特性に関する先行研究は多いが,そのほとんどは高校生を中心としたジュニア選手やシニア選手を対象としたものである.小学生や中学生などの低年齢層のデータはほとんどなく,発育発達を考慮した滑走技術の指導に関する知見は十分に得られていない.本研究によって,これまで科学的観点から検討されてこなかった小・中学校の年代におけるスピードスケート指導に対して有益な知見が提供できると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,国内外において未だ報告されていない,小学生からの各年代におけるスピードスケート滑走動作の技術的特徴を体力的要因と関連づけて横断的に明らかにするものである.本研究に参加した被験者は,小学4年生から大学・社会人までの男女スピードスケート選手165名であり,このうちすべての測定において十分なデータが得られた選手は118名であった. 3次元画像解析法では,複数台のカメラから得られた画像を用いて3次元座標を算出し,様々なバイオメカニクス的パラメータを検討していく.ここで,撮影によって得られた映像から座標を算出するための作業としてデジタイズ(画像上の分析点をマウスで読み取っていく作業)が挙げられ,これは多くの時間を要する作業である.平成25年度では,このデジタイズを中心に分析が進められ,男女の年代ごとに分けられた12グループ(総勢118名)の試技が分析された.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度における分析によって,小学4年生から大学・社会人までの男女スピードスケート選手総勢118名のデジタイズが完了し,ストレート滑走動作の3次元座標が算出できた.ここで得られたデータを発育発達の観点から12グループに分け,各群の下肢関節角度や傾斜角度などといったキネマティクス的特徴を今後詳細に分析していく予定である.本研究における被験者数は極めて多く,また多くのグループを比較することによって本研究課題を明らかにすることとなる.詳細なデータの分析には多くの時間を必要とするため,先行研究を基に焦点を絞って比較検討を進めることが重要といえよう. また,本研究では,下肢のパワー発揮能力をみるための片脚および両脚でのスケートジャンプにおける地面反力データも収集している.前述の技術の評価となり得る動作分析データに加え,体力の評価となり得る地面反力データ等も分析を進め,両者の関係を先行研究や各種調査(今年度実施予定)などを基に検討していく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に参加した被験者は,小学4年生から大学・社会人までの男女スピードスケート選手165名であり,小学4年生から高校3年生までの各年代につき男女それぞれ15名程度という当初の計画通りにデータを収集することができなかった.この被験者数によって発育発達の観点から分析を進めるといった本研究の課題が達成可能かどうか検討を進め,必要があれば再度追加実験を行う計画であった.しかし,平成25年度においてデータ分析を進めることによってこの必要性が無くなった. 本研究は,小学生や中学生などの低年齢層における滑走動作の検討を進めるものであるが,これらの年代の滑走技術に関する科学的データはほとんどない.このため,データの解釈を進めるにあたっては氷上滑走特性(特にスケート靴やスケートブレードといった用具関連)を調査確認するためのデータ収集が必要となることが予想される.また,分析結果の解釈や測定項目の絞り込みを行うにあたり,ハイスピード撮影された動画の詳細な確認作業は必須といえる.ハイスピード映像の処理や映像加工のための分析機器が必要となることも予想される.さらに,得られたデータの分析を進め,国内学会において研究成果の発表を行う予定もあり,このための旅費等として研究費の使用も計画している.
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