疾患の新規治療法として水素分子(H2)投与の可能性が数多く示されてきた。しかし、反応性の高い活性酸素種のみを無毒化するというH2の選択的還元作用のみで多様な疾患抑制効果を説明することは困難である。本研究では、H2存在下で培養した神経芽細胞SH-SY5Yが酸化ストレスにたいして抵抗性を獲得することを明らかにした。H2がミトコンドリアを活性化すると共に軽度の酸化ストレスが細胞に負荷され、Nrf2の活性化により抗酸化酵素類の発現が増加した。このような適応応答あるいはミトホルミシス効果が,水素水などを投与した場合の多様な疾患抑制効果に結びついているものと考えられる。
|