研究課題/領域番号 |
24500918
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 尚絅大学短期大学部 |
研究代表者 |
川口 惠子 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 教授 (10369861)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 相談・支援体制 / 地方消費者行政 / 協働 / 生活支援 |
研究概要 |
調査対象地は、熊本県長洲町、玉東町、宮崎県国富町に加えて、熊本県相良村を追加した。各自治体で実施されている相談・支援の現状を把握した。次に、消費者行政と他領域の関係性を組織つくりの観点から整理・分析して、プロジェクトマネジメントの要素を抽出した。 行政では、いつどこで誰が担当しても一定の効果が得られるような属人的要素に頼らないプロジェクトマネジメントによる支援体制作りが相談・支援の質に関係してくることを明らかにした。支援体制がうまく機能している自治体とそうでない自治体の違いは、職員が安心して業務に取り組めるようなルールによる裏付けと、支援体制を機能させる仕組みつくりの有無にあることが分かった。 相談・支援の内容から、生活資源へのアクセス不全状態が起きていることが分かったため、どのような支援体制が必要であるかさらに事例を収集することにしている。 これらの結果は、2012年度(第59回)日本家政学会九州支部大会において口頭発表した。また、投稿論文「地域コミュニティにおける持続的な生活支援の試み~消費者行政の視点を核とした新たな転嫁~」は、日本家政学会誌に論文として掲載されることが決定している。 この他、先進的な取り組み事例として、京都府の京都自立就労サポートセンター、NPO法人若者と家族のライフプランを考える会を視察し、支援の着地点が問題解決に止まらず、自立につなげるという示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
相談現場の各自治体での現地調査を予定通り実施した。その上で、今年度の目的である「ステークホルダーとのチーム編成に必要な要素の解明」について、組織作りに必要なプロジェクトマネジメントの要素を抽出し、学会発表するとともに論文にまとめることができた(日本家政学会誌 No.6 Vol.64 2013 掲載決定)。
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今後の研究の推進方策 |
熊本県における調査対象自治体における経過観察を行うとともに、京都府等における先進的事例の取組状況も視察し、生活支援の方向性を定める。また、住民互助の事例として、沖縄の共同売店についても自治体の役割について検討を加えたい。 さらに、被災した東北3県の宮城、岩手、福島における相談・支援の現状を把握し、多様な生活支援へのニーズと持続可能な生活支援のあり方への示唆を得るために、現地調査を行う。 これらを踏まえて、住民ニーズに応じた相談・支援体制の複数のモデル構築を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に得られた結果を基にして、モデルプラン作成、試行段階に入る。試行については、熊本県消費生活課、NPOとの連携協力によって遂行する。「立ち上げー計画ー実行ー評価」の各プロセス毎に体系化したプロジェクトマネジメント手法を「相談・支援体制構築プログラム(仮称)」としてまとめる。試行は熊本県玉東町、相良村において行う。試行の進捗状況を定期的に経過観察するための現地調査を行う。また、長洲町、玉東町、相良村、球磨村の4自治体における相談・支援体制の特徴を整理、分析する。 参考事例として、京都府と被災した東北3県の宮城、岩手、福島における相談・支援の現状を把握し、多様な生活支援へのニーズと持続可能な生活支援のあり方への示唆を得るために、現地調査を行う。
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