研究課題/領域番号 |
24501091
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
古田 悦子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 講師 (40422563)
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キーワード | 理科教育教材 / ベータ線測定 / どこだゲーム / 簡易線量計 / 空気中放射性物質の種類 |
研究概要 |
理解しやすい放射線教育を行うための安価に実施可能な放射線の画像化を最終目標とした。このために本年は、予算の少ないと考えられる教育現場で活用可能な安価な教材の開発を行い、さらに1ないし2講義時間、すなわち45~90分程度で終了可能な講義内容にまとめることを目的とした。このため、昨年までの実績を踏まえ、これを発展させた以下の実習用教材を用い、どのような実習が可能かをまとめた。 1. 使い捨てパレットを用いたスキャンニング(位置特定)、2. 木製ブロックの作成による、放射線面の検出、3. 鉱石を用いた「どれだゲーム」、4. 静電気で捕集した空気中放射性物質のしゃへい効果の確認、5. 掃除機パックと風船によって捕集した放射性同位元素の減衰の確認、6.砂絵のスキャンニング。3.4.5.を除き、放射線源としては全て天然放射性同位元素である40Kを含む試薬を用い、安全にも配慮した。これらを学部学生に使用させ、改善点も探った。また、チェッキングソースをZnS(Ag)膜の下に置き、蛍光画像をCCDカメラで撮影した。 以上の結果を、放射線教育に力を入れている会員の多い「日本放射線安全管理学会」の第12回学術大会の放射線教育セッションにおいて口頭発表を行った。さらに国際社会でのニーズに対応するため、英文にてRadiation safety management誌へ投稿した。 本研究は、バラバラに行われてきた40Kを用いた測定、或いは殆どの場合霧箱観察で終わっていた「放射線教育実習」に、ゲーム感覚で楽しめる45分実習の導入を可能にした点で論文査読者に評価された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度前半には、過去に行われてきている教育実習法を検証した。その結果、平成25年度前半には過去の事例と同一教材を用いた場合であっても、他の教育効果が得られるような実習を組むことが可能であることを明らかにした。さらに、得られた結果をまとめて英文で投稿したことは、東京電力福島第一原子力発電所事故以来明らかとなった、特に近隣のアジア圏の国々での放射線への誤解を解くための実習の一助になると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで、一部の学生を対象としていた実習の実施を、(ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHIに採択されたことも受け)小中学生に広げて実施し、改良点を探る。この結果をまとめ、広く教育現場で応用していただけるよう、web上に「放射線教育実習の実践」のホームページを作成する予定である。実際的な内容として、どこで、いくらで実習教材が揃えられるかの情報や、一名の教員が一講義の中で教えることが可能な内容を、基礎から発展編まで、順を追った「実習ノート」を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な理由として、成果確認のための「実習教室開催」を平成26年度に複数回計画し、これに備えてできるだけ節約した。すなわち、実習教材の整備を平成26年度に先延ばしした。さらに、当初計画していた放射線教育セッションのある国際会議への(体調不良による)参加取りやめも理由の1つであった。 教材としての木製ブロック、スキャンニング用の画像の作成や鉱石線源の充実(多数化)、ガンマ線測定用の検出器の改良、これらの成果をまとめたHPの作成および研究成果発表のための旅費
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