1786年、チャールズ・ウィルソン・ピールによってフィラデルフィアに開設されたアメリカ初の公共ミュージアムは、それまでの「驚異の部屋」とは異なり、リンネの分類法を取り入れ、世界の秩序を整理や分類の概念を通じて指し示す啓蒙主義的な展示を行っていた。これはヨーロッパを席捲していたアメリカ退化説に対する反論であり、アメリカの豊かさや広がりを動物のはく製や鉱物、ポートレートを通じて視覚化し、アメリカ市民に伝える役割を果たしていた。この背景には、トマス・ジェファソンとの親交を指摘することができる。両者は、共和主義的教育観を共有していたが、ジェファソンの理神論もまたこの展示に影響を与えている。
|