研究課題
本研究では乳腺上皮細胞の上皮間葉転換EMTにおける遺伝子発現変化を次世代シーケンサーを用いたRNA-seqにより解析するとともに、オープンクロマチン領域の変化につきFAIRE-seqを用いてデータ取得および解析を行った。その結果発現変動を受けるnon coding RNAなどの新規転写産物群を同定した。このうちlncRNA-Smad7と命名したnon coding RNAについてはその機能を詳細に解析し、この遺伝子がTGF-βによる抗アポトーシス作用の一翼を担っていることを見いだした。この結果を論文報告した。マウス乳腺上皮細胞のEMTモデルを使用した本研究に関連して、EMTの制御因子ESRPについても別のがん腫で特徴的な制御機構を見いだして論文報告した。また乳腺上皮細胞に恒常活性RASを発現させTGF-βによりEMTを起こす細胞ではオープンクロマチン領域に違いが生じることを網羅的解析により見出した。モチーフ解析の結果からそのような変化に寄与する候補転写因子群を同定した。siRNAを用いたRNA-seqやFAIRE-qPCRの検討により、実際にこれらの因子がオープンクロマチン領域の制御と遺伝子発現に影響を与えていることを見いだした。重要なことにこれらの因子は乳がんにおいてoncogeneとしての働きが知られており、本研究での検討結果はこれまでの知見を統合し乳がんの進展に役割を果たすEMTのメカニズムの一端を明らかにするものであると考えられる。
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Oncogene
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Cancer Science
巻: 105 ページ: 974-982
10.1111/cas.12454