研究課題
これまでに我々は動物モデルを開発し、骨転移巣の進展に、Receptor activator of NF-kB ligand (RANKL)やTGFβが関与することを明らかにした。RANKLやTGFβR1などの既知の骨転移関連因子の発現量は環境により異なり、培養下や皮下移植では低く骨微小環境では高いことから、腫瘍細胞は骨微小環境で転移関連因子の発現制御を行っていると考えられる。そこで我々は骨微小環境において腫瘍細胞は、microRNAによる発現制御により微小環境に適応し増殖すると仮説をたて、増殖促進作用に関与するmicroRNAの同定とその機能解析を行った。MicroRNA-Array解析では骨微小環境ではmicroRNA-205(miR205)の発現が低下していた。動物モデルを用いたin vivoの経時的な発現解析では、miR205の発現量は経時的に減少し、TGFβ receptor1の発現と逆相関していた。miR205を過剰発現する細胞株においては、Mock株に比べTGFβ-receptor1のmRNAの発現量が低下しており、100p moleのrecombinant TGFβによるin vitro細胞増殖促進作用が確認できた。様々な抗がん剤の感受性を検索すると、ER阻害剤に対し感受性を示したMock株は、AR, HER2, EGFRに対し耐性を示したがmiR205過剰発現株ではこれらに対し感受性を示した。miR205過剰発現株を用いた動物モデルにおける解析では、骨微小環境において増殖する像が観察されたが、miR205過剰発現株では増殖像は観察できなかった。以上より、骨微小環境における腫瘍細胞の増殖促進作用には、miR205の発現低下によるEMTの誘導、TGFβの反応性の増大および薬剤耐性に関与することが判明し、がん幹細胞に似た形質が関与することが示唆された。
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