研究課題
25年度までの解析からIGF2、Insulinは骨肉腫マウス細胞(申請者らが樹立したAXT細胞)、ヒト骨肉腫細胞株(SAOS2, U2OS, SJSA1)に対して、細胞レベルで細胞周期を停止させ、休眠状態を可逆的に誘導することが明らかとなった。休眠状態にある細胞ではautophagyが亢進しており、glutamine要求性が高かった。この結果をもとに、AXT細胞を用いた骨肉腫担癌マウスで抗腫瘍効果の検証を行った。治療にはautophagyを阻害する化合物である、クロロキン、バフィロマイシンA、さらにglutamineを分解する作用のあるLアスパラギナーゼを用いた。その結果、既存の化学療法剤であるドキソルビシンと併用して用いた群では有意に腫瘍の縮小効果がみられた。腫瘍内を調べたところ、併用群では細胞死の亢進が認められた。さらに、クロロキン、バフィロマイシンA投与群ではLC3の腫瘍内における蓄積亢進がみられ、Lアスパラギナーゼ投与群では血清中のglutamine濃度の減少、glutamate濃度の上昇を認めた。ここまで得られた知見がヒト骨肉腫においても存在するか普遍性を検討するため、京都大学医学部との共同研究により、化学療法前後のヒト骨肉腫臨床検体(ペア解析)でIGF1、IGF2の遺伝子発現を定量PCRで解析した。その結果、化学療法施行後の検体全てにおいてIGF1の有意な上昇を認めた。IGF2の発現は治療後に上昇したもの、低下したもの両者がみられた。症例数が少なく更なる検討が必要であるが、IGF2が上昇した症例においては、その予後が極めて不良であった。このことから、ヒト骨肉腫においてもIGFは治療に伴って上昇し、治療抵抗性に関与する可能性が示唆された。
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