研究課題/領域番号 |
24501334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
本間 定 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50192323)
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研究分担者 |
小井戸 薫雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70266617)
岩本 武夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90568891)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | がん免疫療法 |
研究概要 |
腫瘍組織の生検標本などから免疫療法の標的抗原となる腫瘍抗原の発現量を知ることができれば、抗原特異的がん免疫療法(がんワクチン療法)の良い奏効バイオマーカーとなる可能性が高い。従来まで免疫組織化学的方法で腫瘍抗原の蛋白レベルでの発現が評価されてきたが、上記目的のためにはHLA class I分子上に提示され細胞障害性Tリンパ球の標的となる抗原性ペプチドの検出と定量が重要である。 腫瘍抗原 Wilms' Tumor 1(WT1)を様々な程度で発現する数種類のヒト膵癌細胞をSCIDマウス皮下に移植し腫瘍を形成させた。腫瘍径が約1.5cmとなったところでマウスから腫瘍を切除し、定法に則りホルマリン固定標本を作製した。レーザーマイクロダイセクション法を用いて、間質を含まない腫瘍部分を分離して採取し、その腫瘍切片を専用の可溶化剤を用いて可溶化し、LC/MS/MSを用いてHLA-A24に結合する8 merのWT1抗原性ペプチドの検出を試みた。試料の解析では抗原性ペプチドに由来すると考えられる4-8 merのペプチド領域のイオンピークの検出が困難で、WT1が抗発現しているヒト膵癌Panc-1の腫瘍組織からも目的とするWT1の抗原性ペプチドを検出することは不可能であった。この原因として、腫瘍組織のホルマリン固定に際して、抗原性ペプチドの構造が破壊されている可能性が考えられた。次年度以降の研究においては、同様にSCIDマウスに形成された腫瘍組織の凍結標本を作成して、そこからHLA class Iに結合して提示されているWT1の抗原性ペプチドの検出定量を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ホルマリン固定腫瘍組織からの抗原性ペプチドの抽出のところで研究の遅延が認められる。検出すべきペプチドがすでに固定段階で構造的に破壊されているか、または構造的に保たれていても抽出条件が適正でないのか、その見極めと対策に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
ホルマリン固定腫瘍組織標本からのWT1抗原性ペプチドの抽出のための基本的な条件の決定を行う。また、抗原性ペプチドが構造的に良く保たれると予想される腫瘍の凍結標本からのWT1抗原性ペプチドの抽出、定量を試みる。後者は培養細胞レベルではすでに成功しているため、研究の進展が期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は腫瘍移植のためのSCIDマウスの購入と、その飼育費、及び腫瘍組織凍結標本から抽出した抗原性ペプチド成分のLC/MS/MSによる質量解析に要する消耗品費が主体となる。
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