研究課題/領域番号 |
24510222
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
羽二生 博之 北見工業大学, 工学部, 教授 (70172955)
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研究分担者 |
鈴木 聡一郎 北見工業大学, 工学部, 教授 (30250541)
高井 和紀 北見工業大学, 工学部, 助教 (50271755)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自然災害 / ハザードマップ / 航空測量 / GPS誘導 / 無人航空機 |
研究概要 |
昨年度まで農地赤外線空撮に用いた機体を本研究で活用しているが、航空測量には機体およびカメラアングルのより正確な制御が求められる。 今年度はまず、機体の姿勢制御にこれまで用いていた太陽の位置(地表への入射角の変化)に影響を受けやすい可視光水平センサーを、影響を受けにくい赤外線水平センサーに変更した。 GPSからのリアルタイムな位置情報を基に機体を誘導するとき、左右への軌道と飛行高度を同時に制御することは難しいため、赤外線水平センサーを用いた飛行高度自動制御システムを開発して軌道制御の負担を減らした。 数回の飛行でセンサーの最適ニュートラル設置角を見いだした後、飛行高度250mを±10mの精度で約5分間一定高度で自動飛行することができた。 その後、学習機能を追加し、ニュートラル設置角が不適切な場合でも自動的に最適なニュートラル設置角に調整して飛行させることができた。 カメラアングルについては、左右方向のローリングに対しては可視光水平センサーでもカメラをある程度真下に向け続けさせることができるが、機体の飛行速度や重心位置による迎え角の変化に対応できなこととカメラの向きと水平センサー設置角のずれを十分に調整できないため、3軸加速度センサーによるカメラアングル制御システムの試作を行い、室内での動作確認をしたが冬期間であったため飛行テストはまだ行っていない。 このシステムをカメラマウントに取り付ける事によって上記の問題を解決できる。 また、以前のD-GPSおよびSD-GPSの重量は0.5~0.7Kgと重く、接続ケーブルもかさばっていたため、D-GPS基盤モジュールを用いてシステムの軽量化と無線モデムとの一体化を行った。 この間、ハザードマップ作成候補地の選定のために関係機関や測量会社等と打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
飛行高度自動制御では十分な成果が得られた。 航空測量に必要なカメラアングルの斜め前後方向への切り替えによるステレオ撮影機能については、自動シャッタータイミングの調整不足と可視光センサーによる水平検出精度の低さから2枚のステレオ画像において同じ撮影領域を十分にとらえることができなかったが、シャッター遅れやGPSの更新時間遅れへの対応と言った改善すべき点については十分把握することができた。 ハザードマップの作成候補地の調査を行い、北海道開発局からの助言で釧路湿原を、地元の測量会社(エクサ設計)の助言で湧別町を流れる湧別川の河口付近と雄武町を流れる元稲府川の河口付近を選定し、これら関係機関と25年度に向けた作業の意見交換を行った。 特に釧路湿原は春の増水期と秋の渇水期での水位が大きく異なることから、ハザードマップ作成のテスト地として最適である。 また、これまで無線操縦装置やGPSデータを地上に送信する無線モデムの通達距離が500m程度であるため空撮できる場所に制限が有った。 そのため、手動操縦者からより遠くに機体を離すことができる無線システムの調査を行い、2Km程度まで離せる目処を立てることができた。現在、空撮行程の大半の軌道制御を自動化する方向で考えているが、自動制御が誤動作した場合には無線による手動操縦によって機体を安全に回収ために手動無線操縦装置の通達距離も延長は不可欠である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの飛行高度自動制御では小型ウルトラライトPCでのプログラミングにて実施して来たが、現在の翼長3.6mの機体では重量も大きく空撮現場での使い勝手が良くないため、機体とPCやGPSなどの搭載システムの軽量小型化が必要である。 PCについてはArduinoや32ビットのダビンチなどのワンボードマイコンに変更してゆくとともに、GPSも基盤モジュールタイプの高性能なものに変更して行く。 機体については、翼長3.6の現行機の重量が8Kg程度であるが、翼長2.5m程度で5Kg程度の機体を新たに制作する予定である。 カメラアングルの自動制御については、3軸加速度センサーによって常にカメラを真下に向ける機構を制作し、それに真下方向から前後左右の任意の方向にカメラを向かせる機構を取り付けて、空撮の自由度を高めるとともに空撮の自動化を進める。 また、24年度に開発した飛行高度自動制御システムを応用して機体の左右方向への飛行軌道自動制御システムを開発し、飛行自動化の度合を高めてゆく。 さらに、24年度に選定したハザードマップ作成候補地にてテスト空撮を繰り返し行ってシステムの改良と航空測量精度の向上を図るとともに関係機関との連携を深めて、将来の実用化に向けた啓蒙活動を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
飛行高度は実機との干渉を避けるために通常250mで空撮を行っているが、より広域の空撮が必要な場合には高度500mまでの飛行を考えている。 現在の機体は上昇に有る程度の時間を要し、500mまで上昇する間に多くの燃料を消費するため、より大きなエンジンを搭載した胴体を作成し、500mまで一気に上昇できるようにする。 さらに、空撮現場での使い勝手を良くするために、より小型軽量の機体の製作と搭載機器の小型軽量化を進める。 また、24年度と同様にハザードマップ作成候補地を増やすための調査を実施するとともに、テスト飛行やテスト空撮を繰り返してノウハウの蓄積を行う。 これらを実現するために機体製作材料やGPSモジュールなどの各種小型センサー等を購入するとともに、調査およびフィール実験等の旅費や学生への謝金を支出する。 繰り越し金(次年度使用額)の282円は研究代表者の手違いによって24年度内の予算端数処理が間に合わなかったために生じたわずかなもので、次年度は消耗品購入の支払いに当てる。
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