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2013 年度 実施状況報告書

ドメスティック・バイオレンスと婚姻法―暴力から自由な関係性の保障に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 24510389
研究機関京都女子大学

研究代表者

手嶋 昭子  京都女子大学, 法学部, 准教授 (30202188)

研究分担者 南野 佳代  京都女子大学, 法学部, 教授 (60329935)
澤 敬子  京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60340444)
キーワードDV / 被害者 / 支援 / 調停 / 司法手続き
研究概要

日本の家族法においては、離婚を望む夫婦に、協議離婚・裁判離婚等、多様な法手続きを用意している。この離婚手続きという局面をとりあげ、当該夫婦にDVの問題があった場合、法は適切な対応をしているのかにつき、検討を行った。協議離婚は当事者の話し合いに委ねられており、DV事例のように当事者間に力の格差が大きい場合、十分な協議が行われているとは想定し難い。実際、DV被害者が離婚を求めるとき、弁護士や民間シェルターなどのサポートを得ながら、司法制度の利用を試みることが増えているといわれている。家事事件手続法は調停前置主義を採用しているため、訴訟の前に調停を行わなければならない。したがって調停離婚を経験した当事者に聞き取り調査を行い、調停手続きがDVの問題を抱える夫婦の離婚についても、適切な対応をしているかどうかを検討した。その結果、家庭裁判所における調停手続きは、低コストで、第三者の介入により落ち着いて離婚問題に取り組める等の利点がある一方、調停委員に何がDVなのか何が暴力なのかについて、十分な理解がなく、被害者が経験した暴力を過小評価する事態も少なからず起きていること、暴力被害の影響により心身の多様な症状を抱える被害者にとって調停において自己の主張を展開し調停委員の理解を得るのは容易ではないこと、すべての被害者が調停に臨むにあたって適切な支援が得られる制度的保障がないこと、等、問題点を抽出することができた。
また、様々な局面でDV被害者は支援を必要としているが、現行制度では、国や自治体の事情から、地域により提供される支援に質量両面で格差が大きい。被害者が一定水準以上の支援を受ける「権利」を構想することができないかという点についても考察を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度は、DV対策の先進国であるイギリスならびにパックスなど多様なカップルの権利保障制度を有するフランス等、海外の法制度及び婚姻関係のとらえ方に関する研究を行う予定であったが、情報収集・分析に若干の遅れが出ている。

今後の研究の推進方策

海外の法制度についての調査研究を継続させ、日本の婚姻法との比較研究を終結させる予定である。その後、これまでの研究成果を整理検討し、成果物の公表を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、研究補助員用資料公開HP,資料検索用データベース作成運用のためのPC(研究会等に持ち運ぶためノート型)を購入する予定であったが、前年度に購入したPCとの差別化を図るため機種の選定に時間を要し、発注する段階で人気機種のため当該年度中に入手できる見込みが立たなかったため。
資料公開、成果物の発表、資料検索用データベースの作成等に有用なノートPC等のモバイル端末を購入するため、早期に機種選定と発注を行い、新年度中に確実に購入する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Legal Support for Victims of Domestic Violence ~ In Japanese Mediation Process2013

    • 著者名/発表者名
      Akiko Tejima
    • 学会等名
      ISA/RCSL International Congress Sociology of Law and Political Action
    • 発表場所
      Toulouse, France
    • 年月日
      20130903-20130903
  • [図書] 法はDV被害者を救えるか―法分野協働と国際比較2013

    • 著者名/発表者名
      町村泰貴、井上匡子、可児康則、柿本佳美、手嶋昭子、長谷部由紀子、上北正人、立石直子、宮園久栄、矢野恵美、齋藤実、松村歌子、公文孝佳
    • 総ページ数
      497(90-120)
    • 出版者
      商事法務

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公開日: 2015-05-28  

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