研究課題
本研究は3年間で生命倫理学に登場する「モンスター」概念の医学的基盤から社会的、政治的機能に至る総合的分析を踏まえ、生命倫理学に新たな考察の地平を拓くことを目的としている。初年度は主に当概念をめぐる医学的基盤の解明を中心に研究を遂行してきた。2年目にあたる本年度は引き続き医学的基盤について理解を深めるとともに、医学的な「モンスター」概念の社会的浸透過程を明らかにするために、医学関連の博物館におけるモンスター(奇形)の展示に焦点を絞り、実地調査を核に研究を遂行した。本年度の研究経過は具体的には次の通りである。まず本年度第1回研究会を7月6日(京都立命館大学朱雀キャンパス)で開催し、研究代表者及び研究分担者3名による研究経過報告を行うとともに、8月の欧州実地調査の手順を確認した。欧州実地調査は8月26日から9月4日にかけて実施した。まず訪問したイタリア(フィレンツェ)ではスペコラ博物館における展示について精査し、次いでフランス(パリ)に移動し、パリ第5大学医学史博物館のような医学博物館のみならず、自然史博物館などの一般博物館におけるモンスターの扱いも調査した。また研究代表者はフランスにおけるnaturopathieの専門家へのインタヴューも実施した。その成果については11月9日に東京(あすか会議室)で開催した第2回研究会において暫定的なとりまとめを行った。同時に、第2回研究会では医学的基盤から社会的拡張・拡散へという今後の本研究の方向性についても再検討した。それを受けて、翌年2月15日には第3回研究会(京都立命館大学朱雀キャンパス)として小泉義之立命館大学教授を招聘し、「モンスターの哲学」と題した講演と、今後の研究方向について助言指導を仰ぎ、「モンスター」概念の医学的基盤から社会的、政治的機能への拡張を考察するための視点を確保するという最終年度に向けての課題を確認した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した研究の目的との関連で予定していた作業は、海外実地調査を含め、すべて実施することができた。同時に、本研究課題については、本研究当初に予想していたよりも広い観点が必要であることも明らかとなってきており、当初の研究方針を視野を拡大する形で発展させること研究分担者相互間で確認し、最終年度へ向けての調整も終えている。
当初の予定通り、26年度は本研究の取りまとめに向けての作業を実施する。取りまとめた成果については将来的には著作の形での発表を予定しており、その目標に向けての具体的な取り組みが最終年度の課題となる。「モンスター」概念については、上記のように、当初予想していたよりもかなり広い範囲からの考察が必要となることが、本研究の遂行過程で明らかとなってきた。そのため、すでに研究協力者として海外調査にも同行した公衆衛生史研究者の川端美季氏に研究分担者として参加してもらうこととした。川端氏を含め、研究分担者は各自でそれぞれ取りまとめの作業に従事することとして、研究会は年度後半に2回を予定している。なお、うち1回は専門家を招聘し、講演・指導・助言をお願いするべく、調整を進めている。
購入予定の関連図書が刊行時期及び再版時期が次年度にずれ込んだため。購入予定の関連図書の内、その後、未入荷分は多くが刊行及び再版されており、購入可能となっているので、時期は遅れたものの当初計画通りに購入を進める予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 5件) 図書 (4件)
理想
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