研究課題/領域番号 |
24520201
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
森岡 卓司 山形大学, 人文学部, 准教授 (70369289)
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研究分担者 |
仁平 政人 弘前大学, 教育学部, 講師 (20547393)
高橋 秀太郎 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40513065)
野口 哲也 都留文科大学, 文学部, 准教授 (90533000)
山崎 義光 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (10311044)
高橋 由貴 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (90625005)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本近代文学 / 東北 / 疎開 |
研究実績の概要 |
前年度までに調査した1945年1月から1946年8月までの東北六県の地方紙文芸欄、及び全国紙ニ紙の文芸欄及び文学関係記事を、比較検討可能な一覧データに統合した。その結果として、今後の調査で補うべき部分が明確になり、全体の見通しが得られた。 その見通しに基づきつつ、地方雑誌(文学)の展開、東北表象の推移、という2つの観点から各研究分担者が研究を進め、報告を行った。具体的な論及対象となったのは、高村光太郎と雑誌(第二次)「至上律」、沢渡恒と雑誌「意匠」、雑誌「東北文学」と戦後文学論、郡山文化運動と医療厚生運動、島木健作における「地方」表象と「外地」表象、昭和戦前期までの東北表象の推移、といったテーマ群である。 話題は多岐にわたるのだが、全体的な見通しとしては、明治以降の近代国家像確立の過程で〈東北〉表象に与えられた〈未開〉イメージが、1945年8月を通じた〈日本〉像の大転換の中でその位置を変えていく具体的な様相、そして同時にその変動が1950年ころには虚しく終息していく現象について、検討を加えてゆきつつあるということになる。 換言するならば、ナショナリズムの中に位置づけられ続けている地域主義のオルタナティブの可能性を、疎開という具体的な交通がもたらした1940年代東北地方の文学状況に見ている、ということになるのだが、今後は、この問題について、国内外の他地域との比較を念頭に置きながら、理論的な検討を詰めていくことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の資料調査方針の策定と実施に予想以上の時間を要し、予定していた全国学会でのパネル報告が次年度にずれ込んだ。ただ、その分、研究メンバー内部における議論には時間をかけることができ、共同研究の練度は上がった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる27年度は、全国学会でのパネル報告を行い、総括的な議論をあわせて進めることとなる。当初予定していた東北以外のエリアとの比較検討については、若干の軌道修正を行い、テストケースをもとに見通しを探ることにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査計画の策定に時間がかかり、調査に伴う旅費及び図書・物品購入費の執行が、2月以降にずれ込んだため、予算執行期限に間に合わなかった。しかし、この問題はすでに解消しており、研究計画にしたがって適切に当該予算を執行できる。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度行うはずであった、「東北文学」など、宮城県を発行元にした資料とその周辺情報の調査及び資料収集、及び秋田県資料補完調査のため、5月をめどに予算を執行する。
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