研究課題
1945年1月~1946年8月までの東北六県県紙、及び全国紙二紙における文芸欄及び文化活動に関連する記事の悉皆調査を行い、東北地域における文化活動の特質を見通すための資料的基盤とした。そのうえで、帰郷を含む疎開において生じた具体的な接触を通じて派生した文学的活動の動態について、『東北文学』『意匠』などの地方雑誌を中心として調査分析を行った。そこでは、島木健作の転向後の歩みと地域性、モダニズム文学と地域性との関わり、太宰治、神保光太郎、丸山薫らの疎開文学者の地域的な活動の実態など、これまでの文学史的把握に修正を迫るような種々の具体相が明らかになり、またその背景にあった地域主義とナショナリズムとの関わり、外地への視点にも隣接するような東北観の位相についても新たな知見が開かれた。これらの研究成果の主たる部分については、2015年度日本近代文学会秋季大会(2015.10.24~25、於金沢大学)におけるパネル「1940年代の東北表象と地方文学運動」(パネル代表者森岡卓司)において学会に広く公開された他、東北地区で行われた研究会における発表、公開講座などの機会を通じて地域へと還元された。今後は、これらを最終的にとりまとめた論集を単行本として発行し、その成果を広く世に問うことを計画している。
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武蔵野文学館紀要
巻: 6 ページ: 1-21
東北工業大学紀要 理工学編・人文社会科学編
巻: 36 ページ: 59-63
郷土作家研究
巻: 37 ページ: 12-20
太宰治研究
巻: 23 ページ: 35-44