本研究ではベトナム系アメリカ文化を例に、ポストモダニズム以降の文化翻訳の実践を分析・検証した。その主たる対象は、若くしてアメリカに移民し教育を受けた1.5世代、及びアメリカで生まれ育った二世移民とした。 彼ら若い世代のつくりだす移民文化は、ベトナム系コミュニティの形成と発展に寄与してきただけでなく、アメリカの主流文化にも影響を与えてきた。いわゆるメルティングポットにおける同化のプロセスではなく、異なる二つの文化をつなぐハイブリッドな文化形成、すなわち文化翻訳のプロセスに寄与しているのが、今日のベトナム系アメリカ文化といえる。
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