本研究ではホメロスの英雄叙事詩『オデュッセイア』の作品解釈と後世における受容をテーマに調査した。研究成果を書籍として社会に還元したほか、口頭発表や論文執筆により公表した。作品解釈としては、前半部分の放浪と後半部分の復讐という2つの主題をつなぐものとして「オイコス」秩序の回復を想定し、作品中の様々な要素がどのように整合されているかに焦点を絞った。後世における受容では、ギリシア悲劇や第二ソフィスト時代など古代の著述家たちから、『トロイ物語」など中世ロマン、さらにルネサンス期のペトラルカやボッカッチオ、近現代のジェイムズ・ジョイスやデレク・ウォルコットまで、時空ともに幅広い受容について概観した。
|