女児の言語使用の経年変化をみると、量的には英語使用が増加、日本語使用が減少、質的には日本語の文法理解に進展がみられなかった。これは予想されたことであったが、母親の言語使用には予想外の変容が認められた:女児の英語使用の増加に伴い、それまで日本語のみの使用を心がけていた母親にあって、英語使用が有意に増え、日本語のみの使用が有意に減少した。 本研究から、こうした経年変化は、子どもの一方の言語に生じる発達の停滞/減退が、親の当該言語の使用の減少を招き、更にそのことによって子どものこの言語の発達の停滞/減退が増進するという、親子間に生ずる相互作用の力学による負の循環の結果として生ずるとの示唆を得た。
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