研究課題/領域番号 |
24520782
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
藤永 壮 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (00247876)
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研究分担者 |
伊地知 紀子 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (40332829)
高 正子 神戸大学, 国際文化学部, 講師 (80441418)
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キーワード | 在日朝鮮人 / 密航 / 済州島 / 韓国 / 朝鮮 / 植民地 |
研究概要 |
2013年度は、9月20~23日にかけて済州島でフィールド調査を実施した。これは前年度から調査を継続している、済州島北部地方のある村の人びとの渡日体験と、渡日を可能にした地域ネットワークの実態について、その内容の最終確認を行い、体験者から公表の了解を得るためである。また今回は並行して、日本で進めてきたインタビュー調査で出てきた地域を確認するための現地踏査を行った。 なおこの踏査に先立ち、調査の成果をまとめた研究報告を、2013年6月29日に大阪教育大学で開催された国際学術大会で発表した。最終的な研究成果はすでに論文を執筆し終え、今年度中に韓国で出版される予定である。またこれとは別途に共同研究の報告書を、国際高麗学会の学会誌に発表する運びになっている。 一方、すでに執筆を終えていた、戦前の大阪における朝鮮人の人口やその構成を動態的に分析した論文は、2013年6月に韓国で出版された。 このほか以前から進めてきている体験者へのインタビュー記録のテープ起こしと、その内容の編集作業も継続して行った。2013年度はそのうちのお二人のインタビュー記録を、研究代表者の勤務先の学会誌に掲載した。またこうしたインタビュー記録を韓国で刊行するため、朝鮮語への翻訳作業も進めており、すでに第1巻は2012年に刊行したところであるが、第2巻もほぼ翻訳、編集作業が終了したため、2014年度中に刊行する予定となっている。 また戦前、朝鮮人女子紡績労働者が集中的に就労していた大阪・岸和田地域のフィールドワークに参加し、この地域の調査から掘り起こされた成果を学ぶことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
韓国での踏査を1回、日本国内での踏査を1回実施したが、今年度は体験者へのインタビュー調査を実施できなかった。研究代表者および分担研究者の日程調査が難しく、共同で現地調査を行う時間が限定されてしまったことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究の最終年度にあたるため、まとめの作業として、韓国で研究成果を翻訳、刊行する。一方で研究の継続のため、日本国内や済州島でフィールド調査や文献調査を行い、インタビューの内容の裏付けにつとめる。とくに2013年度には実施できなかったインタビュー調査の実施に留意する。また今年6月には韓国・青巌大学校で、9月には韓国・済州大学校で開催される国際学術大会に参加し、本研究の成果を報告する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度の未使用額が発生したこと、および日本国内でのフィールド調査にさほど経費を要しなかったことによる。 物品費としてパソコン、参考書籍などの購入、旅費として国内・海外でのフィールド調査にかかる費用、人件費・謝金としてテープ起こし、翻訳のアルバイト代、その他として複写費、文房具など消耗品などの購入代にあてる。
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