研究課題/領域番号 |
24520922
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研究機関 | 清泉女子大学 |
研究代表者 |
辰巳 頼子 清泉女子大学, 文学部, 講師 (20407381)
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研究分担者 |
福武 慎太郎 上智大学, 外国語学部, 准教授 (80439330)
浜本 篤史 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80457928)
原口 弥生 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20375356)
高木 竜輔 いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (30512157)
布施 雅彦 福島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80280345)
豊川 智之 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40345046)
鈴木 直喜 清泉女子大学, 文学部, 教授 (10338577)
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キーワード | 人類学 / 社会学 |
研究概要 |
本研究の目的は、第一には、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故をうけて、福島県から首都圏、名古屋市、茨城県に避難している(母子)避難者を対象に聞き取りを行い、避難経路や親族との連携、および支援者や行政のサポートなどを調査すること、第二には、(母子)避難者が、避難者同士、故郷の親族・友人、避難先の支援者や一般住民、行政担当者などとつくりつつある、放射線被害への恐れを通した人々のつながり=アソシエーションの実態を明らかにすることである。第三に、そのような実態調査を通じて、いままで様々な分野で扱われてきた避難と定住の問題を、横断的にぶんせきするとともに、原発事故による避難という問題の今後について議論することである。 平成25年度は、昨年度の2月から引き続いて25年度の7月まで研究を中断した。8月に再開後は、個人での研究を進めた後、12月に研究会を開き、全員の研究の進展を報告するとともに、成果物のイメージをすりあわせながら、研究会としての今後の方向について議論した。成果としては、個人が論文を執筆するとともに、研究会全体としては、原発事故以降の社会の在り方に興味を持っている大学3,4年生や社会人向けに、解説をつけながらよませるものを成果物として出版することに決定した。本研究会がとりあげるのは避難という狭いテーマではあるが、それを分野横断的に取り扱うことによって、普遍的な議論を導きだすことを目的とする。そのために、来年度6月に公開研究会(シンポジウム)を開催することを決定した。学術的な議論にとどまらず、できるだけ開かれたかたちで成果物を作り上げて公表していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の産前・産後休業により、平成25年2月から7月までは研究期間を中断した。そのため、研究期間を平成27年度まで延長した。研究成果の発表も延期されてしまうことのないように、研究成果を二段階(おもに教育的な成果、おもに学術的成果)で発表することとした。上述の教育目的の成果物は、25年度の議論をもとに、26年度には出版できる段階まで個々の研究を進める見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
原発避難という問題は現在進行形であり、時間の経過のみならず政治の情勢などによって避難者の状況は変化する。東日本大震災より三年を迎え、避難者を取り巻く状況が短期間で大きく変容していることなどから、随時追加調査を行いながら、震災当初からの変化も含めて、時間を区切りながら議論する必要がある。26年度では、公開研究会(対話型シンポジウム)を行い、そこで一般の関心を持つ人々と議論しながら、ニーズをみきわめ、26年度中に出版の道筋をつける。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年2月より7月末までは研究代表者の産後休業により研究を中断した。27年度まで延長したため、研究の遅れを取り戻すべく継続する。 母子避難者のアソシエーションに関する継続的な聞き取り調査をメンバーそれぞれが行う。6月に研究成果のアウトプットに関して原稿の要旨を持ち寄って議論する。このアウトプットは主に大学3・4年生から一般向けで、中心テーマは避難論と支援論、すなわち東日本大震災以降の避難の現実と支援の現実および今後の支援の方向性について、考えるものとする。学術論文に関しては、この学生一般向け教育書の内容をより発展さ せたものを想定しており、研究期間の残りの1年半余りを用いて議論のうえ完成させることとする。
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