憲法理論の前提である公私二元論の再検討と、社会実態に即した「公-共-私」の枠組みでの再構成を目的とした。成果は以下の通り。①統治機構における共の領域の意義。 憲法が想定する統治機構の間隙を、現実には自治会や町内会、財産区など共の組織が多様な方法で埋めている。②共の領域の持続的管理とESD。 コミュニティが担う「資源・エネルギー・労働の共同管理」と「構成員へのアイデンティティの付与」は、持続可能な社会の実現に資する。資源・エネルギー・労働が市場原理に委ねられた結果、個別化された個人はアイデンティティを国家や私事に求める傾向にある。共の領域の持続的管理にはESDのような学びが必要となる。
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