多数の当事者が関与する仲裁手続の法的規律について,特に手続の併合を中心に検討を加えた。その際,諸外国の立法例や主要仲裁機関の規定,およびアメリカやドイツにおける判例・学説等を参照・分析した。 仲裁手続の基礎は当事者の仲裁合意にあるため,契約締結の際に多数当事者仲裁を見込んで慎重かつ明確にそのための規律について合意をしておくことが望ましい。問題は明確な合意がない場合である。一部について合意が欠けている場合は,契約間の関係等から,仲裁合意の範囲の拡張を検討すべきである。諸外国の立法例には強制的な手続併合を認めるものもあるが,なお慎重な検討が必要であろう。また,アメリカの集団仲裁の展開も紹介した。
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