研究課題/領域番号 |
24530161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮脇 昇 立命館大学, 政策科学部, 教授 (50289336)
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研究分担者 |
山本 隆司 立命館大学, 政策科学部, 教授 (10150765)
横田 匡紀 東京理科大学, 理工学部, 講師 (20400715)
清水 直樹 高知短期大学, 社会科学科, 准教授 (20508725)
西出 崇 立命館大学, 政策科学部, 講師 (30513171)
後藤 玲子 立命館大学, 先端総合学研究科, 教授 (70272771)
藤井 禎介 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (70350931)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | やらせ / 政治 / 完備情報 / ゲーム / 核不拡散 |
研究概要 |
公共政策における「やらせ」の発生環境の分析を進める際に、「不完備情報」「政治的演出」の2点を中心に本研究における基礎的な分析枠組みを構想した。不完備情報ゲーム論は、社会科学で既に確立したモデルとなっている。しかしそのモデルは対等な二者を想定しているものであり、国内の公共政策過程にみられる非対称的な権力関係とは趣が異なる。本研究は、as if 選好等の枠組みを参考に、不完備情報ゲームのモデルを非対称的な権力関係に応用する場合の前提条件や変型の可能性を検討し新たな分析枠組みを構築するべく学会報告(公共政策学会)と科研費研究会を開催し、国内外の事例を通じて知見を得た。同時に共著の出版により研究成果の一部を世に問うた。 また政治という営為において演出という舞台装置を為政者や政治的企業家が必要とするのはなぜかという点について、共通の政治学的理解を形成するべく検討を重ね、演出をされる側の世論の「やらせ」受容と拒絶のプロセスが法的にどこまで許容されうるのかをアメリカの判例をもとに整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は「やらせ」、すなわち社会的な支持の調達を権力的な情報操作によって達成しようとする方法の分析を通じて、「やらせ」発生を個別アクターの単なる倫理的問題としての研究に還元するだけでなく、公共政策全般の課題として「やらせ」を学術的にとらえる新たな知の体系の形成を目的とするものである。そのための「やらせ」の発生原因に関する学際的研究を基礎とする公共政策研究が求められているという認識にたち、初年度の研究計画に即して研究を開始した。研究分担者・協力者以外のゲストによる報告をまじえて貴重な意見交換と分析枠組み形成の議論を行った。しかし予算上の制約から十二分なものとはいえず、次年度への継続課題が残った。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年目として、第一仮説の「争点モデル」の妥当性を検証すべく、複数の争点を事例研究から抽出する。例えば、国内の産業政策の事例では企業間協調による「共同開発計画」が実施された際に監督官庁の指導が事実上サボタージュされることも頻繁にあった。それにもかかわらず関係者間の紛争は表面上なく、監督官庁の指導が遵守されているように見せかけるという演出がなされていた。その政治的演出の過程を検証する。 また一部の商業主義的格闘技で演出的観点から散見される選手自身による「やらせ」の類似行為における情報の不完備性に着目する。それは商業的偽装批判にとどまるものでなく、「スポーツ政策」の過程として再検証する。争点事例の比較を通じて情報の非対称性・不完備性という環境要因と「やらせ」との因果関係を環境政策の観点から検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
個別事例の研究報告とそのための資料収集を中心に研究費を利用する。京都もしくは別の都市で研究会を数回開催し、初年度の蓄積をふまえて上記の課題についての分担者・協力者の報告を行う。
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