研究課題/領域番号 |
24530235
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
鈴木 和志 明治大学, 商学部, 教授 (40226501)
|
研究分担者 |
千田 亮吉 明治大学, 商学部, 教授 (80179944)
溜川 健一 山形大学, 人文学部, 准教授 (80409424)
福田 慎 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (90573957)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | Asset Pricing / Capital Investment / R&D Investment / Multiple q / Euler's Equation |
研究実績の概要 |
平成25年度までの作業では、Belo-Xue-Zhang(Review of Financial Studies: 2013)が提唱した設備投資を資産化した有形資産のみを組み込んだ single q モデルに基づくinvestment-based asset pricing modelを日本企業について実証した。平成26年度の作業では、最終目標である、研究開発投資を資産化したR&Dストック(無形資産の代表)を有形資産と共にモデルに組み込み、multiple q モデルに基づいてinvestment-based asset pricing modelを実証する段階まで到達した。平成26年度の作業は、これまでの作業とは異なり、パネルデータではなく、ポートフォリオをベースとする推定であり、これは各ポートフォリオのpricing error に関するモーメント条件を並列したものをGMMで推定する点でこれまでのパネルデータに基づく推定とは方法論において大きな違いがある。また、これと並行して、当初予定していたオイラー方程式を利用したR&D資産と有形資産を同時に含むinvestment-based asset pricing modelについて、ポートフォリオをベースとする推定を試みた。そして、multiple q モデルに基づくモデルとパフォーマンスの比較をした。これらの成果は、Investment-Based Asset Pricing Model with R&D in Japan として論文にまとめることができた。今年度の学会報告を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度までは若干の遅れを感じていたが、平成26年度でその遅れを取り戻すことができた。R&Dストックデータの完成とR&D資産を導入したinvestment-based asset pricing model の構築が終了したことが大きい。後者については、当初考えていたSDFにR&Dファクターを導入したファクターモデルを推定するのではなく、オイラー方程式を利用して、有形資産の収益率と無形資産の収益率の加重平均が加重平均資本コストに等しいというモーメント条件を導き、このモーメント条件をGMM推定する方法に切り換えたことが作業の進展につながった。
|
今後の研究の推進方策 |
一応、最終目標である有形資産と無形資産を同時に組み込んだ、investment-based asset pricing model の推定まで進むことができたが、当初購入した財務データとR&Dデータの期間が2010年度までしかなく、追加データを購入して推定期間を最近年まで延長したいと考えている。当該作業は、推定結果の安定性を増すためにも必要であると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
既に購入した企業財務データと研究開発費データが2010年度までしか収録されていないので、これらを2013年度まで更新するためである。データの追加により、リーマンショックの影響を緩和することができ、より安定的なモデルの推定結果が期待できるとともに、最近の経済状況までを反映した推定結果も期待できるので是非とも必要な措置である、当初のデータ購入時には、2010年度までのデータしか入手することはできなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
企業財務データ((株)日本経済研究所)の購入に、64万8000円、減価償却費・設備投資・研究開発費データ((株)東洋経済新報社)の購入に、27万円を予定している。
|