研究課題/領域番号 |
24530583
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
薄井 彰 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90193870)
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キーワード | 会計学 |
研究概要 |
本年度の研究目的は、(1)会計制度の変更が企業行動に及ぼす影響、および(2)戦後の会計制度の創設過程を明らかにすることである。最初に、「金融商品に係る会計基準」(以下、金融商品会計基準という。)の改訂と有価証券投資の関係について調査した。有価証券の会計処理は、1999年の金融商品会計基準に基づき、(a)売買目的有価証券は時価で評価し、評価差額を損益計算書に評価損益として計上する、(b)満期保有目的債券は取得原価で評価する、(c)子会社株式および関連会社株式は取得原価で評価する、(d)その他有価証券は時価で評価し、評価差額を貸借対照表の資本の部に直接計上することになった。2001年に「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」(以下、銀行株式保有制限法という。)が制定され、銀行等は株式保有を自己資本の範囲に制限された。大規模サンプルの調査の結果、金融商品会計基準に基づく「その他有価証券」の公正価値評価が銀行株式保有制限法を介して、銀行等と企業の関係の再構築をもたらしたことが明らかになった。次に、経済安定本部企業会計制度対策調査会が1949年に公表した「企業会計原則」の作成および改訂の過程を調査した。「企業会計原則」は、すくなくとも1980年代までは、会計基準設定の規範であり、企業会計制度対策調査会を引き継いだ企業会計審議会が会計基準を作成する権限を一貫して保持していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、(1)企業会計制度の変遷、および(2)企業会計制度変更と経済的影響に関する研究を実施した。(1)については、戦後わが国の会計制度の創設過程に関して、日本会計史学会にて研究報告を行った。(2)については、金融商品会計基準の導入がその他有価証券投資に及ぼす影響に関して、日本ディスクロージャー研究学会の学会誌に研究論文を掲載した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、(1)会計基準設定主体の形成、(2)企業会計制度の変換点の抽出に関する研究の発展分析、(3)企業会計制度の変遷、および(4)企業会計制度変更と経済的影響に関する研究を継続して実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規公開企業データの確認作業が中途であったため、データベースの作成を次年度に延期したため。 データ入力作成の謝金および人件費等に充当する予定である。
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