本研究の課題は「ボードリヤールの社会理論の再構成,及びその受容と影響についての批判的検討」である。研究は具体的には(1)ボードリヤールの一次文献を精査して,(2)研究の手薄であった「悪」「不可能な交換」といった諸概念を明確化し,(3)ボードリヤールの社会理論を情報社会論的な視点から理論的に再構成する。さらに,(4)ボードリヤールの社会理論の多方面での影響を整理して,その社会的,文化的意味を明らかにし考察する。以上の研究については,学会発表,学術論文として概ね成果をあげることができた。とはいえ,(4)は十分な成果をあげたとはいえず,本研究の最終目標である著書執筆を果たせず,今後に課題を残した。
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