研究課題/領域番号 |
24530625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
林 拓也 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (90322346)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会階層/階級 / 社会的距離 / 職業認知 / 階層/階級意識 / 計量社会学 |
研究概要 |
本年度は、次年度に予定している本調査に先立って、調査計画の検討およびそれに基づくプリテスト(予備調査)を実施した。調査計画について、調査において提示する職業名の検討を行い、日本標準職業分類(小分類数364)を参照枠としつつ、その大分類を抽出のための「層」とした上で、計36職業を選定した。 調査方法について、当初は個別訪問による面接法または留置法で実施する予定であったが、回答者がインターネット上で回答するWeb調査の方が、より効率的かつ多数の回答を見込むことができるため、調査方法を切り替えることとした。ただし、その場合には、標本の代表性を確保するためのサンプリングができないため、以下に記すような、属性による割り当てが必要であることに留意する。 そして、調査項目を設定した上で、プリテスト(予備調査)を実施した。調査対象者の属性は、20~59歳の有職者とした。実査は専門業者に委託し、まず本人の従業形態と職種のみを尋ねる「スクリーニング調査」を行い、その中から、指定の職業区分(3区分)および性別区分(男/女)ごとに一定数の回答者に調査依頼配信を行うという手続きをとった。その結果、計210ケースのデータを得ることができた。 このデータを用いて、評定職業に対する認知距離をはじめ、イメージ評定・関係性を中心とした分析を行い、本調査を実施するにあたっての注意点や修正点などがないかを検討した。その結果、本研究において最も重要な項目である「認知距離」の測定において、回答の偏りが大きく、当該設問の大幅な変更が必要であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備調査を実施した後、その集計・分析を行ったところ、本研究において最も重要な項目である「認知距離」の設問において、回答の偏りが大きいことが判明した。そのため、分析の主眼として位置づけている変数間の関連性よりも、回答者の回答傾向(偏りの大/小)による影響が強く表れてしまうことが懸念される。よって、当該設問を中心に質問・回答方式の大幅な見直しを行う必要があると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、「認知距離」の設問についての欠陥が見られたため、このままの形で本格的な大規模調査を実施することはできない。そこで、当該設問については、通常行われる選択肢にチェックする方式の回答ではなく、画面上で評定対象の職業をグループ分類するという方式の回答に変更するといった工夫を行うことにより、回答の偏りを回避することを見込むこととする。そして、その方式変更の妥当性・有効性を検証するにあたり、再度、小規模の予備調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額の5万円は、当初予定していた消耗品を購入する必要がなくなったために生じている。これを含め、25年度は315万円が計上される。その使途は、(1)第2回目の予備調査と、(2)本調査の実施に充当する予定である。また、(1)については、先述のとおり、「認知距離」の設問を大幅に変更することにしており、Web画面上でグループ分類をするシステムを組む必要がある。そのため、このシステム設計を含めた調査費用として、130万円を見込む。その予備調査の集計・分析を経て、第1回の予備調査との比較検討を行った上で、(2)の大規模な本調査を実施する。そのための調査費用としては、180万円を見込む。また、調査および分析の際に使用する消耗品の購入費として5万円を見込む。
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