本研究は、重度失語症者の社会参加に必要な支援を明らかにすることを目的とした。既存研究をレビューしたところ、社会参加の定義やスケールが不統一であり、支援の効果も客観的には測られていなかった。また、言語聴覚士の役割が、施設での言語訓練にとどまっていることも指摘されていた。社会参加の場面で参与観察とインタビューを行った結果、重度失語症者であっても、日常的な拡大・代替コミュニケーションの使用で他者とコミュニケーションを図れることや、失語症者を理解する者との交流の意義が明示された。一方で、失語症者の社会参加を支える制度が整っていないという課題も示された。
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