研究課題/領域番号 |
24530752
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
木村 容子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (00352948)
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研究分担者 |
小野セレスタ 摩耶 滋慶医療科学大学院大学, その他の研究科, 講師 (80566729)
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キーワード | 子育て家庭 / 家庭訪問 / 実践モデル / 開発的研究 / M-D&D |
研究概要 |
本研究は、ソーシャルワーク実践モデルの開発のための手続きである芝野(2002)のM-D&D(修正デザイン・アンド・ディベロップメント)を用い、子育て家庭のための家庭訪問ソーシャルワーク実践モデル(原版)を開発することが目的である。 当該年度は、次の点で成果をあげた。 1.妊産婦や乳幼児をもつ家庭のための家庭訪問事業に関する文献研究の成果を論文にまとめ紀要に掲載した。事業の利用プロセスや実施上のポイントを整理し、実践モデルの枠組みと構成要素について分析、考察するとともに、2.の調査質問紙作成につなげた。 2.M-D&DのフェーズII「叩き台のデザイン」のための調査として、全国の自治体を対象に(指定都市を含む1742の市区町村)、乳児家庭全戸訪問事業および養育支援訪問事業の実態調査をおこなった。本研究の申請時には小規模の量的および質的調査を計画予定していたが、先行研究の詳細な調査の結果、家庭訪問事業全般、とくに養育支援訪問事業に関する調査はきわめてとぼしく、その運用実態さえ不鮮明であることがわかった。そのため、研究計画を見直し、乳児家庭全戸訪問事業と養育支援訪問事業に焦点をあてた全国規模の調査により、各自治体の実施体制やその方法の詳細を把握するとともに、どのような仕組みや方法が必要なのか、また効果的なのかについて検証した。 3.家庭訪問ソーシャルワーク実践モデルの原版の電子データ公表・配信のためのホームページ作成およびフェイスブック・ページ改良のための準備をおこなった。上記全国調査実施にともない、研究費の使途の見直しの必要性も発生し、実践モデルの原版の公表・配布の方法について再検討した結果、インターネットによる配信が効率的と判断した。製作委託専門業者の助言をもとに、前年度製作したフェイスブック・ページと、新たに設けるホームページのコンテンツと仕様案を立てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時の研究計画における2本の調査(近畿圏の自治体を対象とする家庭訪問者についての量的調査と、家庭訪問事業に関し評価の高い複数の自治体に対する各種事業の実施体制および方法についての質的調査)について見直しを行い、本年度に全国の自治体を対象とする乳児家庭全戸訪問事業と養育支援訪問事業の質問紙調査を実施することとして、研究方法に変更が生じた。しかしながら、研究全体の進捗としては、実践モデルの開発手続きであるM-D&DのフェーズI「問題の把握」とフェーズII「叩き台のデザイン」の調査を、予定していた前年度と今年度の2年間でほぼ予定どおり遂行している。 子育て家庭に対し、自治体が子育て支援を提供する入口的役割を担う乳児家庭全戸訪問事業と、そこから先さらなる支援を必要とする家庭への支援、とくに養育支援訪問事業を含めた実践モデルの枠組みと構成要素がほぼ抽出された。 また、最終年度である次年度に実践モデルの叩き台(原版)づくりをおこなうが、原版の配布方法について検討し、インターネット配信に向けてのホームページ製作と、すでに製作・配信されているフェイスブック・ページのコンテンツや仕様案が立った。すでにフェイスブック・ページには、家庭訪問者が親とどのようにかかわるか、知識や情報を伝えるかを学ぶために製作した動画教材や、子育て家庭に紹介できる情報等のコンテンツをあげている。これに倣って、順次コンテンツを収集しアップしていくことができる。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度である平成26年度は、実践モデルの開発手続きであるM-D&DのフェーズII「叩き台のデザイン」における、家庭訪問ソーシャルワーク実践モデルの叩き台(原版)づくりをおこなう。 まず、前年度に実施した全国の自治体を対象とした乳児家庭全戸訪問事業および養育支援訪問事業に関する質問紙調査のデータの統計解析をすすめ、利用者支援のプロセスにともない、どのような仕組みや方法が効果的であると推測できるのか検証する。 その結果をもとに、乳児家庭全戸訪問事業を入口として、個々の子育て家庭のニーズをアセスメントし、そのニーズに応じた支援(パッケージ)を計画して各サービス・事業につなげ、モニタリングする包括的なケースマネージメントシステムを内包した実践モデルをつくる。これまでの2年間に検討した実践モデルの枠組みと構成要素(モジュール;モデルを構成する小さな独立したユニット)を確定し、各構成要素(モジュール)で遂行すべき業務等の実施内容と手順をフローチャート化およびチェックリスト化する。あわせて、業務の遂行を助けるツール(たとえば、アセスメントシート等)など、前年度の全国の自治体調査を通じ提供された資料について、活用されうるものを精査し、この実践モデルにくみ込む。 本研究の成果は、ホームページを作成し、そこに公表・配信していくとともに、成果物である実践モデルの叩き台(原版)は、すでに製作・配信しているフェイスブック・ページを改良して、主にこれを使って公表・配信していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
先行研究の詳細な調査の結果、家庭訪問事業全般、とくに養育支援訪問事業に関する調査はきわめてとぼしく、その運用実態さえ不鮮明であることがわかった。そのため、申請時の研究計画においては、近畿圏の自治体に対する量的調査と5自治体程度の質的調査を予定していたが、研究計画を見直し、全国規模の調査により、その運用実態を示すデータを用い分析する必要があると判断した。 また、各種家庭訪問事業の管轄部署は母子保健担当部署や児童福祉担当部署等異なる自治体が多いため、家庭訪問事業の核となる乳児家庭全戸訪問事業と養育支援訪問事業とで調査票を分け、それぞれの担当部署から回答を得るのが、回答の妥当性や回答率を確保する上で最善と考えた。 このため、全国の自治体1750弱にそれぞれ2種類の調査票を郵送することとなり、調査票の印刷費と郵送料、データの入力費用に多くの経費が必要となった。 研究成果と成果物の公表・配信のためのホームページの製作とフェイスブック・ページの改良費用として150,000円、インターネットでの配信のためのレンタルサーバー費20,000円と、これら成果物について全国の自治体への案内のために、葉書印刷と郵送代に100,000円を予定している。 また、前年度実施した全国調査により自治体より提供を受けた資料のデータ入力と家庭訪問教材およびツール製作にかかる人件費として150,000円を計上している。 このほか、研究成果発表のための旅費に3名分180,000円、図書購入や文献複写費用に50,000円などをあてる。
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