「文検」は、戦前期日本において、独学者が中等教員になるための検定試験であった。本研究は、その「修身科」に着目する。「修身科」は戦前期中等教育の基幹科目のひとつであり、今日の「道徳教育」に相当するものである。本研究では、「文検」修身科の全体像が明らかにされた。本研究は、以下の五つの手順を踏んだ。(1)その通史を概観した。(2)試験問題の特質を明らかにした。(3)試験委員の学説と試験問題との相関を考察した。(4)受験生のライフヒストリー(受験動機、受験生活、受験後のキャリアなど)を明らかにした。(5)教科書の分析から、中等修身科教育の特質を明らかにした。
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