本研究は、自然音とその映像、音楽を用い、特別支援学級の生徒・児童が興味や関心を持ち、集中して想像力を発揮し、楽曲の理解を行い、芸術活動を通じ、豊かな心を創造し、音楽が糧となりうる音楽鑑賞教材と指導資料集を作成する研究である。教材としての使用効果を上げるためには、身近な自然音「風の音」「水の流れる音(川の流れる音、波の寄せる音)」「雨音」の他、イメージを持ちやすい「鳥の囀り」「馬の蹄の音」等を教材に取り入れるのが有効である。それら自然音の中で聞こえる音を聞き、映像を見て、それが何の音かを問いかけ、その音に対応する楽曲を聴取する。使用楽曲はドイツ歌曲「菩提樹」や「時計」「オールフ氏」「詩人のトム」等バラード歌曲のように、歌詞を伴い、言葉からも自然描写を想像できるものが有効と考える。 上記内容から、全国の特別支援学級で設定が可能な自然音に絞込み、各学級の周辺でも発見できる自然音並びに映像(風景)による鑑賞教材を作成した。構成は、ナレーションを含めた楽曲解説、音声ソフトによる朗読と映像(風景)を含めた楽曲演奏とを組み合わせ、全5曲を厳選し、DVDソフトを作成した。 また、鑑賞教材作成に当たっては、一般的な家庭用機材・編集ソフト等を活用し、専門的な知識と技能を有せずとも、鑑賞教材への興味と関心があれば、誰によっても作成が可能であることを明らかとし、鑑賞教材作成の手順を鑑賞教材資料に含めた。それにより、本研究終了後も各学校の教員の手により、本研究内容が継続されると考える。
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