研究課題/領域番号 |
24531163
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本体育大学女子短期大学部 |
研究代表者 |
奥泉 香 日本体育大学女子短期大学部, 幼児教育保育科, 教授 (70409829)
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研究分担者 |
北川 達夫 日本教育大学院大学, その他の研究科, 教授 (70537399)
山元 隆春 広島大学, 教育学研究科(院), 教授 (90210533)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マルチモーダル / バイモダルテクスト / 視覚的リテラシー / 国際情報交換 / オーストラリア連邦 (QLD:NSW) |
研究概要 |
本年度は研究実施計画に基づき、視覚的リテラシーの実践プラン集を開発するために必要な要素の洗い出しや、適する学習材の収集・分析を主に行った。このため、日本、オーストラリア連邦、米国における国語科の教科書やワークブックを、小学校・中学校段階を中心として関連学習材を中心に検討した。その際挿絵や写真だけでなく、説明的文章における図や表・グラフの種類毎の整理や分析も行った。 また、上掲の国々の学習材に通底する理論についても、並行して調査・検討を行った。オーストラリア連邦においては、文字と映像といった異なるモード間を往還的に読み解く理論として、本研究でも基盤としている選択体系機能言語学の知見を調査・検討した。また米国の文献においては、絵本を中心としたメディアが、子どもの読解力・理解力に果たす役割を検討・考察した。その結果、文学作品の諸要素の働きを理解する手立てとして絵本の果たす役割に関する知見を得た。さらにフィンランドにおける2015年実施を目指した学習指導要領の改訂との関係で、当該学習内容を既存の教科から分離して教科横断的な位置づけにするか否かといった議論についても調査・検討を行った。 実践的な観点からは、オーストラリア連邦や米国で実践されているリテラチャー・サークルやブッククラブの調査を行い、絵本をメディアとして活用することによって、読書活動の促進や異なる記号間からの意味構築の学習につなげる取り組みについても、今後の課題を含め知見を得た。これらを整理・検討する中で、日本の学習者に有効な視覚的リテラシーの学習材開発に必要な観点を整理・検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、高度情報化社会(あるいは知識基盤社会)に国語力として最低限育成すべき視覚的リテラシーを、実践化するために必要な実践プラン集の開発と、適する学習材の開発である。本年度はそのため、この目的を達成するために有効な学習材選定のポイントや、実践化のポイントを調査・検討して洗い出すことを研究実施計画の中心に据えた。 この方針に則り、当該学習の実践に先鞭をつけているオーストラリア連邦や米国の研究、またその実践化を調査し、これらを推進している中心的な研究者と有効な情報交換の機会を得た。またこれらの研究者を通して、実践家との協力関係も構築することができた。これらの調査において、有効な学習材や学習のポイントを整理することができたため、本研究の達成度は概ね順調であると判断している。 また、上記で調査・検討したポイントに基づき、国内の教科書に採択されている学習材との関係についても整理・検討をほぼ終了することができた。この点からも概ね順調な研究の進捗状況であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進に関わる方策としては、上記の研究で得た知見や実践化のポイントを、視覚的リテラシー育成に有効な学習材の選定や開発、実践プラン集の作成や検討に活かしていく方向を計画している。具体的には、小学校低学年用1セット、中学年用1セット、高学年用1セット、中学生用2セットの適する学習材とそれを用いた実践プランのセットを開発する予定である。各学齢に対応させた学習材や学習内容、実践プランを開発するため、本年度調査に赴いた国や地域のカリキュラムやワークブックの系統性に関する記述を検討・参照し、選定や開発に活かす予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度以降の研究費は、主にこのセットの学習材集とプラン集の検討・開発、またこれに関わる打ち合わせに使用する予定である。この学習材の候補として発注した海外の絵本が、当該年度中には二冊入手が困難な状況に陥ったため6930円が消化できなかったが、次年度以降この二冊に関しては引き続き入手に努め、次年度以降の研究費と合わせて上述した学習材の開発に活かす方針である。
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