研究課題/領域番号 |
24531265
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
齋藤 友介 大東文化大学, 文学部, 教授 (50297082)
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研究分担者 |
河野 淳 東京医科大学, 医学部, 教授 (00224808)
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キーワード | 人工内耳 / 学齢期 / 学力 / 機能的アウトカム |
研究概要 |
世界的なインクルーシブ思潮の台頭や新生児聴覚スクリーニングの普及を背景にして、我が国においても聴覚障害児の義務教育の場は、近年、ろう学校(聴覚障害特別支援学校)から地域の小学校や中学校の通常学級に移りつつある実態がある。とくに、幼児期に人工内耳埋込手術を受けた児にあっては、人工内耳装用により「軽度難聴」程度の聴力が確保されることから、通常学級に学籍を置いて教育を受ける事例が多い。他方、我が国ではこうした通常学級で学ぶ人工内耳装用児に対する、情報保障(文字通訳や手話通訳)などの支援が用意されることは希であり、「軽度難聴」児である人工内耳装用児は、授業理解のみならず学級活動への参加において、諸種の困難を経験している実態がある。 こうした問題意識のもと、本研究では東京医科大学病院聴覚・人工内耳センター(ACIC)において、継続して聴覚管理を行う、学齢人工内耳装用児の学力と学級における機能的アウトカムに関する検討を進めている。 平成25年度においては、上記センターを利用する児(約100人)を対象に、個別による面接調査を行った。その結果、具体的には、学力については、教研式NRT(図書文化社刊)を用いて、小学校4年生から中学3年生の人工内耳装用児の学力データ(国語:75人、中学生のみ英語:18人)採取を完了し、目下、データ解析を行っている。同様に機能的アウトカム(授業理解や学級活動への参加)に関しても、平成24年度に米国のAntiaら(2007)のClassroom Participation Questionnaire(CPQ)に基づき、我々が新たに開発した『日本語版聴覚障害生徒向け学級参加尺度』(査読誌『聴覚言語障害』、42巻第2号、平成26年年4月刊行に掲載」)を用いて、小学生ならびに中学生、計81人のデータを採取し、現下、統計的解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
対象となる児童・生徒が来院する長期休暇時(夏休み、冬休み、春休み)に集中的に面接調査を実施した結果、順調な量的データの採取が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
すでに機能的アウトカムの調査と学力検査を修了した児童・生徒のうち、約10名について、平成26年7月から8月にかけて個別インタビュー調査を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
3年間の研究期間中において、平成25年度は最もデータ分析や学会発表などが集中したため、次年度予算の使用が生じた。 最終年度は、個別インタビューの実施、ならびに研究報告書の作成と論文執筆において予算を執行する予定である。
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