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2012 年度 実施状況報告書

部分群構造とそれに付随する組合せ構造を用いた単純群の構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24540024
研究種目

基盤研究(C)

研究機関熊本大学

研究代表者

千吉良 直紀  熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40292073)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード有限単純群 / 格子
研究概要

本研究では、有限単純群の構成を考える上で重要である特徴的な部分群に注目し、その部分群から得られる組合せ構造等を用いて、単純群の構成、特徴付けについての研究を行うのが目的である。特に、単純群の部分群で、その置換表現が、座標の置換表現となるようなベクトル空間を考え、部分群の性質を用いて、元の単純群が作用する格子、符号などの組合せ構造を記述し、部分群から始めて単純群の構成を目指す。
1.ラドヴァリス群の28次元複素ベクトル空間への作用を考察した。ラドヴァリス群の部分群である9元体上の3次元ユニタリ群に注目し、この群を使ってラドヴァリス群が作用する28次元の複素格子を構成するベクトルを分かりやすく記述した。また、そのようなベクトルの可能性をすべて書き出し、本質的には複素共役で移りあう2種類の記述になることが分かった。さらにこの格子のテータ級数を計算した。これまでこの格子は、その構成方法が複雑であったため、あまり研究されてこなかったが、今回の結果により、整理され扱いやすいものになった。
2.散在型単純群の中で最大位数の群であるモンスター単純群について、そのシロー2部分群の構造についての研究を行った。この群を調べる上でリーチ格子やゴーレイ符号といった組合わせ構造が重要であることが良く知られている。よく知られた格子の使われ方を見るという観点からも重要であると思われる。シロー2部分群の正規部分群である格別な2群の生成元の分かりやすい構成が出来ることが分かった。今後はシロー2群の全体の様子を調べる上でさらに詳しく研究を行う必要があると考える。
3.群の準同型の個数に関するHallの定理の拡張について研究を行い、淺井-吉田予想についての進展を見た。今後この研究を進めることが重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ラドヴァリス群の研究については格子の生成元の様子が良くわかるようになってきたので、このままの研究方法で進めることにより、コンウェイ群とリーチ格子の関係のように分かりやすい記述が出来るようになってきている。その意味で概ね順調であると言える。また、他の群についてもいくつかの興味深い例があり、その群の様子を今後調べていくことで、目的が達成されると思われる。

今後の研究の推進方策

今後も引き続き、部分群の性質を詳しく調べることによって群の構造を明らかにし、群の構成について新しい見地を見出していく。
1.引き続きラドヴァリス群に代表される群と部分群の置換表現、群のベクトル空間への作用、および群が作用する格子との関係を詳しく調べていく。
2.リー型の単純群、モンスター単純群、トンプソン群などの他の単純群についてもその部分群構造と群の構成についての考察を行う。
3.一般の群について成立する特徴的な性質についての考察も行う。

次年度の研究費の使用計画

本研究では連携研究者とのセミナーによる問題の解決、及び専門知識を持った研究者との意見交換や研究討論を主体として研究を遂行する。そのため、研究費の多くを研究打ち合わせ等による旅費に当てる。また、具体的な計算については群論用計算ソフトMAGMAなどを用いる。
ラドヴァリス群についての考察を引き続き行う。さらにその方法を拡張して、例外型リー型単純群の構造、さらにはモンスター単純群の部分群構造の研究を行う。そのためには、多くの研究討論を行う必要がある。千葉大学教授北詰正顕氏や、東北大学准教授島倉裕樹氏らと研究討論を行う(千葉大学、東北大学他2泊3日5回)。また、多くの研究者が集まる代数的組合せ論および群論関する研究集会に参加し、結果の一部を公表するほか、研究の情報交換を行う。(静岡、京都他)。
また、関連する代数学の書籍を購入し、情報を得る。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] On a Theorem of P. Hall2013

    • 著者名/発表者名
      Tsunenobu Asai, Naoki Chigira, Takashi Niwasaki, Yugen Takegahara
    • 雑誌名

      Journal of Group Theory

      巻: 16 ページ: 69--80

    • DOI

      10.1515/jgt-2012-0034

    • 査読あり
  • [学会発表] A group of order 2^462013

    • 著者名/発表者名
      Naoki Chigira
    • 学会等名
      Taitung Workshop
    • 発表場所
      Taitung University, Taiwan
    • 年月日
      20130325-20130328
    • 招待講演
  • [学会発表] Hallの定理の一般化について2013

    • 著者名/発表者名
      千吉良直紀
    • 学会等名
      RIMS研究集会 有限群とその表現、頂点作用素代数、代数的組合せ論の研究
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      20130107-20130110
    • 招待講演
  • [学会発表] Rudvalis群と格子2012

    • 著者名/発表者名
      千吉良直紀
    • 学会等名
      第57回代数学シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      20120820-20120823
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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