研究概要 |
有理数体Qの円分的Z_p拡大のpのn乗次の中間体の類数h(p,n)が全てのnについて1であるかどうかというのがWeberの問題である。従って、この問題を証明するためには、全ての素数がh(p,n)を割らないことを示せばよいことになる。申請者は1000000000より小なる素数がh(2,n)を割らないこと、及び、32を法として±1と合同でない全ての素数がh(2,n)を割らないことを示し、これらを昨年、Heidelberg大学で開かれたIwasawa2012の研究集会で発表した。この研究を受けて、Cambridge大学のJ.H.Coatesは、有理数体Qの全ての円分的Z_p拡大の合成体の有限次の中間体の類数は有界であろうと予想した。この予想はGreenberg予想と密接な関係がある。Greenberg予想とは、総実代数体の円分的Z_p拡大体の中間体の類数のp-partが有界であることを主張するものである。言い換えれば、岩澤健吉により定義された、λ-不変量とμ-不変量が0である、という予想である。この問題に関し、Weberの問題と関連付けることで、有理数体Qの円分的Z_2拡大のn番目のlayerのZ_l拡大に関して、Greenberg予想が正しいことを示した。さらに、二次体Q(√p)の円分的Z_2拡大についても、岩澤主予想を用いて証明した市村-隅田の判定法を拡張し、100000以下の素数pについて、Greenberg予想の成立を証明した。
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