研究概要 |
Weberの問題とは, 有理数体QのZ_p-拡大B_{p,∞}のpのn乗次の中間体B_{p,n}の類数はいつでも1であるかという問題である. 一方, Greenberg予想は, 総実代数体kとB_{p,n}の合成体kB_{p,n}の類数のp-指数がnについて有界であるという予想である. 25年度は, 上の二つの予想を同時に考えるという視点にたち, pを固定したとき, kB_{p,n}の類数はnについて有界かという問題を考えることにした. これは, k=Qとしたとき, B_{p,n}の類数はnについて有界かという問題になる. 25年度に得られた1番目の結果は, 10万以下の素数lについて, Q(√l)B_{2,n}の類数の2-指数はnについて有界であるというものである. これはA. Wilesによって証明された岩澤主予想を用いて, 類数の計算を円単数の計算に帰着し, 2進L-関数の岩澤多項式の次数を類数の2-指数を評価することによって得られた. 2番目に得られた結果は, 次のようなものである. pを虚2次体FでP, P’と完全分解する素数とし, F_∞をPのみ分岐するFのZ_p-拡大とする. F_nをF_∞/Fのpのn乗次の中間体とし, e_nをF_nの類数のp-指数とする. このとき, modular unitを用いて, 具体的にe_nを計算するアルゴリズムを与えることができた. これを用いて, p=3のとき, F_∞/Fのλ-不変量が0になることをFの判別式が20000より小なるときに証明した. さらに, FのPの外不分岐な最大pro-p群がDemuskin groupになる例を見つけた. また, 2014年3月11日から13日まで, 早稲田大学理工学術院で整数論の研究集会を開催し, 内外の研究者14名の講演をきくことができた.
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