CR多様体上のKohn-Rossiラプラシアンの実部として得られるサブラプラシアン(CR-サブラプラシアン)に付随する拡散過程であるCR-ブラウン運動の大域的構成について研究を継続して行い、その成果を近藤宏樹(博士課程指導学生、社会人ドクター)との共著論文としてまとめ、現在投稿中である。この論文作成にあたり、強擬凸CR-多様体上のTanaka-Webster接続に基づく平行移動を利用して、これまでの局所座標による表示から大域幾何的表記へと転換した。このために、研究協力者松本裕行氏(青山学院大学)を訪問して研究討論を通じてTanaka-Webster曲率に関する主バンドルに関する確率幾何学的考察の整理をし、また東京で開催される研究集会の折に近藤と論文作成の打ち合わせを行った。 また、昨年度見出したDirichlet問題への応用に加え、CR-ブラウン運動にそう1-微分形式の確率線積分が滑らかな密度関数を持つための十分条件を見出した。この成果も上記論文に書き加えた。 これらの成果をWarwick大学で開催されたUK-Japan stochastic analysis school 2014において「Diffuison processes on CR-manifolds」という題目で発表した。 CR-ブラウン運動の推移確率の研究の途上で2次ウィナー汎関数を相関数にもつ確率振動積分に対する停留移送原理の成立を与える新たな振幅関数についての着想をえ結果を論文にまとめ、Kyushu Journal of Mathematicsにて発表した。 サブリーマン多様体上の熱核の解析的研究と比較しながら、CR-多様体上の熱核の対角線漸近展開について研究を継続している。
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