研究概要 |
まず、昨年度に達成した22GHz対でのジェット噴流のイメージ品質の向上に続き、本年度は43GHz対においても同様の品質向上イメージの取得に成功した。これらの結果は日韓合同アレイのイメージング性能評価のまとめとして論文にまとめた。現在論文投稿中(Niinuma, Lee, Kino et al.)である。 次に、VERAアレイの22GHz帯と43GHz帯両方を用いた密な観測頻度によるジェット運動速度の計測を実行した。その結果、22GHz帯で計測した中心ブラックホールからより遠い一での運動速度よりも、43GHz帯で計測したブラックホールにより近い一でのジェットの運動速度のほうが遅いという観測的示唆を初めて得た。この観測結果は、磁場駆動型ジェット理論モデルが予言する傾向と一致する。この成果は現在論文投稿中である(Hada, Giloretti, Kino et al., 2014, ApJ, submitted)。さらには、VLBI観測データに基づいたジェット根元部分での磁場と相対論的電子のエネルギー密度を推定する理論的方法を新たに提案し、実際にM87ジェット根元の磁場と電子のエネルギー密度を定量的に評価した。本結果は(Kino et al. 2014, ApJ)にて出版した。 日韓合同アレイによる密な観測頻度によるジェット運動速度の観測も、本年度の後半に実行するこができた。現在は観測データの相関処理中である。
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