フェムト秒レーザー波形整形技術の光受容蛋白質の光反応制御への適用に向けて、システム全体の再構築のレベルに戻って、技術開発を行った。 反射型空間位相変調器を用いたWeiner型の波形整形システムにより、色素溶液の二光子蛍光強度を指標として適応制御を行った。適応制御の高速化のために、スペクトル全域にわたる位相変調のあらゆる組み合わせを試すのではなく、変調パターンを限定し、自由度を制限して、制限されたパターン空間の中での探査を行う方法を検証し、単純なスペクトル分割の適正化が、効果ああることを見いだした。 現行の手法では、収束までの時間が2時間程度と長く、さまざまなパターンの検証は、困難である。そこで高速化のために、並列計算の手法を取り入れることとした。現在、システムを再構築しており、引き続き、手法開発を実施する。 反応制御に向けて、励起状態の占有数をコントロールする技術が鍵となる。一方、共鳴励起を利用した非線形光学効果の増強は、応用の上で興味深い。共鳴励起において、高速の励起・脱励起が可能になるならば、高速の非線形光学現象への適用が可能である。光カー効果を題材として、低強度波形整形パルス駆動超高速カーシャッターの開発を行った。共鳴光カー効果の適応制御を示す実験結果が得られ、現在、実用化に向けON-OFF比の向上を追求している。 光適応制御に関しては、すでに10年以上が経過し、非常に強力なツールと目されるが、さまざまな研究への適用、技術レベルへの発展に関しては、未だ道半ばである。この点を解明するため、文献調査を行い、今後の研究の方向について検討を行った。
|