研究課題
H27年度における本研究課題では、かぐや衛星によって月の昼側で観測されていた3Hz~10Hzの広帯域のホイッスラー波について、エネルギー源と考えられる反射プロトンは入射する太陽風フラックスが大きいときに多いはずと考えて太陽風速度と磁場変動強度の関係を調べたが、予想したような相関はみられず、そのかわりに、衛星と月面上の磁気異常が磁力線で繋がっているときに磁場変動が強く、磁力線の繋がりが途絶えた時には波も途絶えることがわかった。衛星で反射プロトンが観測されている場合であっても、磁力線の繋がりが途絶えた時には波も途絶えていた。このことから、3Hz~10Hzのホイッスラー波の生成には、磁力線に沿った反射電子流がかかわっていることが示唆される。月の夜側で観測されるタイプⅡエントリープロトン(昼側月面で反射後のサイクロトロン運動によって夜側ウェイク中に回り込んだプロトン)に伴う0.1-10Hzの広帯域波についても、電子の流入が条件となっているが、かぐや衛星の粒子観測(MAP/PACE)により、この電子速度の角度分布が沿磁力線ビーム状であることがわかった。月周辺で観測される低周波の磁場変動について、反射プロトン、反射電子それぞれについて、太陽風の磁気流体波との共鳴、太陽風中のホイスラ波との共鳴、ピッチ角分布の変形によるホイスラ波の励起、と、異なる過程によって0.01Hzの狭帯域ULF波、1Hzの狭帯域ELF波、0.1-10Hzの広帯域波が生成されることをまとめ、AGUモノグラフLow-Frequency Waves in Space Plasmasの17章として出版することができた。
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Earth, Planets and Space
巻: 67 ページ: 1-12
10.1186/s40623-015-0196-0
http://www.issibern.ch/teams/kineticplasma/