放射線が原因となって起きる「ソフトエラー」と呼ばれる電子デバイスの誤動作現象を取り扱った.放射線がデバイスに侵入すると物質中に電子ならびに正孔が発生し,これがノイズとなってデバイスが誤動作する.その際に伴う物質の温度上昇の効果について検討した.熱注入を容易に取り扱うために,雰囲気温度制御モデルを考案した.200 nm SOI-CMOS回路技術を例に昇温現象の効果を調べた所,この現象を取り入れることでノイズが大きくなることがわかった.すなわち,この現象を取り入れていない見積りは,回路のソフトエラー耐性を実際より高く評価している可能性がある.ただし,その差は10%程度に留まることが明らかになった.
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