研究課題/領域番号 |
24560541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
管野 政明 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80554261)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 受動的システム / 制振制御 / 達成可能性能 / 国際研究者交流 / イギリス |
研究概要 |
1. 代数的手法を用いた物理パラメータに関するH2ノルム最適化 振動抑制性能も含め制御系の性能指標として,インパルス外乱に対する出力のエネルギーを表すH2ノルムと呼ばれる量がよく用いられる.線形制御系のH2ノルムは,連立一次方程式を解くことにより,すなわち四則演算に基づき計算できる.この特長を生かし,数式処理システムを活用することにより,システムのH2ノルムを物理パラメータに関して陽に表現し,さらに偏微分を行うことによりH2ノルムの感度解析ができる.この事実を用いて,システムのH2ノルムをニュートン法を用いて最適化する手法を確立した.さらに,平成25年度の計画にあるH∞ノルムの最適化に関しても,その計画に着想を得,H∞ループ整形設計法における達成可能性能の最適化手法を,他の研究にも関連させ,提案した.この手法を改良することにより,本研究で必要な,制御系の共振のピークを低減化するアルゴリズムが実現できるので,その準備ができた. 2. 受動的機械回路網における新たな自由度の有効な条件 イナータと呼ばれる新たな受動的機械素子が,様々な構成の受動的機械回路網において制振性能の向上に寄与するかどうかを調査する計画であったが,もっとも単純な構成に対する検討のみ行われた.性能向上に寄与するかどうかの境界は,動吸振器の設計に関する知見と密接に関連していることが,発見的手法に基づく設計により確認された.仮説は立てられたので,平成25年度以降,数学的に証明するとともに,様々な構成における条件を明確にしていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「2. 受動的機械回路網における新たな自由度の有効な条件」の部分は,計画より若干遅れてはいるが,「1. 代数的手法を用いた物理パラメータに関するH2ノルム最適化」の拡張としてH∞ノルム最適化手法の基礎となる計算手法が確立できつつあり,その点の進展があったので,全体としては,おおむね順調であると判断した.今年度は想定されていなかった学内の業務のため,海外共同研究者を訪問できず,それが「2. …」の部分の遅れの一因となった.平成25年度は,学内業務をある程度整理できたので,得られた時間を使って挽回する.
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に基づき研究を遂行していく.具体的には,H∞ノルム最適化手法の確立と新たな自由度の有効な条件を数学的に明確にすることである.特に,夏休み等の時期に,海外共同研究者のSmith教授を訪問し,まとまった期間,集中して研究を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度,海外共同研究者を訪問できなかった分,次年度は複数回または長期に訪問し,旅費の使用が増える.また,今年度購入しなかった計算機を次年度に購入する.
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