本研究では、酸とアルカリの組み合わせにより、下水汚泥焼却灰中のリンをリン酸溶液またはリン酸カルシウムとして分別回収することを試みた。焼却灰からリンを溶出させた硫酸溶出液に対して、一つは鉄塩を加えてpH2付近でリン酸鉄、もう一つは何も加えずにpH4付近でリン酸鉄+リン酸アルミニウムを一旦沈殿させ、その後アルカリ性にして金属類を分離する方法である。これらの中間物質を介することによって、重金属含有量の低いリン酸溶液またはリン酸カルシウムが得られ、最終的に焼却灰中リンの71~87%が回収可能なことが確認された。その一方で、濃縮された重金属溶液の回収も可能なことが示唆された。
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