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2013 年度 実施状況報告書

炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の界面接着性および含浸性評価

研究課題

研究課題/領域番号 24560838
研究機関岐阜大学

研究代表者

仲井 朝美  岐阜大学, 工学部, 教授 (10324724)

キーワード複合材料 / 熱可塑性樹脂 / 界面接着性 / 含浸性 / ポリマーブレンド
研究概要

連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料は、熱硬化性樹脂複合材料に比べ樹脂の溶融粘度が高いために、強化繊維束内への含浸が困難であり、含浸不十分の成形品では、力学特性の低下が起こる原因となる。さらに、繊維と樹脂の界面特性が低いという問題を有している。ここで界面特性には、化学的な界面接着性とぬれ性が含まれており、化学的な界面接着性が低い場合、樹脂から繊維への力の伝達が低下し、力学的特性が低下する。一方ぬれ性が乏しい場合、含浸特性が低下し、未含浸領域が増加、力学的特性が低下する。
昨年度においては、炭素繊維およびポリプロピレン(PP)を用いた系において、界面接着性およびぬれ性の向上を同時に達成すること目的とし、炭素繊維に施す表面処理について検討をおこなった。本年度は、In-situポリマーブレンド手法の開発をおこなった。役割の異なる2種類の繊維を用いて中間材料(Micro Braided Yarn:MBY)を作製し、最適配置および比率を検討した。比較のため、芯鞘構造を有する樹脂繊維、および、2種類の樹脂を予めブレンド・紡糸した繊維を用いてMBYを作製し、比較検討をおこなった。
ホモのPP樹脂は含浸性に優れるが、炭素繊維との界面接着性が低い。一方、PP樹脂に対してマレイン酸変性処理(MAPP)を行う事で、界面接着性は向上するが、含浸特性が低下する。PP繊維およびMAPP繊維を用いてIn-situポリマーブレンドをおこなうことにより、界面接着性およびぬれ性の向上を同時に達成することが可能となった。In-situポリマーブレンド手法を用いることにより単に2種類の樹脂が混合した特性が得られるわけではなく、それぞれの繊維の配置によりモルフォロジーが異なり、最適な配置を選択することが重要であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画として、平成24年度に界面の改質、平成25年度にサイジング剤およびカップリング剤が界面接着性および含浸特性に及ぼす影響を検討するという計画を挙げていた。平成24年度において、界面接着性および含浸特性の評価手法について確立し、炭素繊維およびポリプロピレンを用いた系において、界面接着性および含浸特性の両方を満足する表面処理手法についての知見も得られた。そのため、平成25年度においては、平成26年度の研究実施計画として記載した内容についても前倒しで着手した。

今後の研究の推進方策

平成24年度において、界面接着性および含浸特性の評価手法について確立し、炭素繊維およびポリプロピレンを用いた系において、界面接着性および含浸特性の両方を満足する表面処理手法についての知見を得た。平成25年度においては、In-situポリマーブレンドの概念を提案し、役割の異なる2種類の繊維を用いて、界面接着性および含浸特性の両方を満足することが可能となった。
平成26年度においては、ナイロンなど異なる熱可塑性樹脂を用いた系、混繊糸など異なる含浸距離を有する中間材料に対してこれらの概念を応用し、その有効性を確認する。さらに、繊維状中間材料を用いた複合材料を評価する際、一方向材だけではなく、織物や組物など異なる強化形態に対しても応用、評価する。

次年度の研究費の使用計画

研究実施計画として記載した内容について前倒しで着手し、来年度については他の材料系についても応用、有効性を確認することし、研究費用の見直しをおこなった。その結果、次年度使用額が生じた。
物品費として、上記計画に必要な消耗品(樹脂、繊維、表面処理剤、ひずみゲージ、研磨紙、包埋用樹脂など)を計上する。特に新たな材料系へと展開するため、材料費が申請時よりも多く必要となる。界面評価に関しては、謝金等で実験補助を雇用し、研究を円滑に推進する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Development and Processing of Intermediate Mterial for Continuous Fiber2013

    • 著者名/発表者名
      K. Nakazawa, T. Motochika, M. Takagi, A. Ohtani, A. Nakai
    • 学会等名
      19th International Conference on Composite Materials (ICCM19)
    • 発表場所
      Montreal, Canada
    • 年月日
      20130728-20130802
  • [学会発表] FRTP成形用繊維状中間材料の開発および加工に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      中沢和史,高木光朗,本近俊裕,大谷章夫,仲井朝美
    • 学会等名
      プラスチック成形加工学会第24回年次大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130521-20130522
  • [図書] 高分子ナノテクノロジーハンドブック2014

    • 著者名/発表者名
      編集委員長 西敏夫
    • 総ページ数
      1096
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス

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公開日: 2015-05-28  

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